第48章 原点
「今まで、ご苦労だった」
八斎會の作戦終了後。
公安の人間が、私に通達を伝えに来た。
彼らの申告は、ひどくシンプルなものだった。
「この日を最後に、公安と君の関係を抹消する」
なぜですか、と問いかけることも。
抵抗の意思を態度で示すことも。
未だできない面会不可の状況にある私に対し。
公安職員は述べた。
「かねてより不安分子として監視していた異能解放軍の動きが活発している。近々、敵連合と接触する話があがっているそうだ。潜入し、情報を流せ」
潜入の方法も。
情報の流し方も。
答えを教えてはくれない、その工作員に。
私は何の疑いを向けることなく、端的に返事を返した。
構成員の外典に接触して。
敵連合とも接触を果たした。
公安への情報を、どうやって渡そうか。
方法を模索している間に。
キミが現れた。
「ーーーどうして、キミがここに」
キミと顔を合わせて。
違和感を感じた。
本当に驚いたようなキミの声。
演技が上手くなったなぁ、なんて初めは思っていたけれど。
そのうち、自分を取り巻く環境が、想像したものと違ってきていることを悟った。
「同じ、夢を見てると思ってた」
「思ってた」って。
どうして過去形。
キミの夢、ちゃんと。
ちゃんと、叶ってほしいって思ってた。
「ーーーーごめん」
ごめんって、どうして
どうして、謝るの?
謝ることなんてなにもない。
謝られることなんて、なにも。
キミの翼が突き刺さった。
胸から溢れ出る自分の血をぼんやり眺めて。
一瞬で理解した。
(ーーーーあぁ、そうか、私)
遂に、キミに
見限られてしまったんだなぁ。