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イカロスの翼【ヒロアカ】

第48章 原点




気づけば、そこに存在していた。
親なんていなかった。
家なんてなかった。
戸籍なんてなかった。
名前なんてなかったから、周りから好き勝手に名付けられていた。
ランキング上位は「かごめちゃん」。
遠くの公園の17時のチャイムから名付けられた。

それが私にとっての「普通」の生活。

ホームレス達に育ててもらったような気がしているけれど。
小さい頃のことすぎて覚えていなかった。
私が言葉をある程度話せるようになってからは、「一人で生きていけ」と放っておかれた。
ゴミを漁って。
仕事を探して。
横取りしてくる人間を叩きのめして。
それが人間という動物の「普通」の生活だと思っていた。
だから辛くはなかった。












ヒミコちゃんと出会って。
同い年くらいの子と初めて話して。
どうやら、自分の思考は「普通」じゃないらしいと知った。
分倍河原さんと出会って。
大人の人と久しぶりに話して。
どうやら、自分の生活は「普通」じゃないらしいと知った。
燈矢と出会って。
誰かと一緒に暮らしてみて。
どうやら、自分の思う幸せは、「普通」じゃないらしいと知った。




















































燈矢を置いて、博多へ出張に向かった日。
私はブローカーに騙されていたのか、顧客に騙されたのか、今となっては定かではないが。
仕事場に着く直前。
変なガスマスクをつけた敵に、襲われた。























「やぁ、探したよ」

「僕を覚えているかな?」

「君のお母さんの個性を貰った、敵だよ」





















へぇ、私に。
お母さんなんていたんだ。
そう思ったのを思い出した。
そんなことを考えた数秒後。
その男は、私の身体を個性で焼失させた。














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