第48章 原点
深い、深い、意識の底。
泣き叫ぶキミの声を聞いた。
私はもう。
立ち上がる気力が持てなくて。
カルラと共に、暗い深淵を彷徨っていた。
《ーーー……》
『………もういいんだ。もう疲れた。休みたい』
《ーーー承知した。》
ーーー親父!!!緑谷たちを守ってくれ!!!
ーーー頼む動け!!!守ってくれ!!!
ーーーおい、後にしてくれ!!!
沈んでいく意識の中で。
一つだけ、気になって。
暗い暗い海に沈んでいく最中。
目を開けた。
『……カルラ』
《ーーーどうした、》
『……緑谷くんの声がしない。爆豪くんも』
《ーーーさぁ》
『轟くんは、一人で戦ってるの?』
《ーーー……気になるなら、お前が見ればいい》
『嫌だよ……もう疲れたんだって…』
ーーーあぁあ!!波動先輩!!
ーーーやめろォ!!!
『それに……私はもう、この世界にはいない方がいい』
泣き叫ぶようなキミの声。
その辛さが伝播してきたかのように。
私の頬を、涙が伝った。
『………私は…この世界にはいらない』
《》
《轟焦凍がお前を呼んでいた》
《手を貸してほしい、と》
『キミが、誰かの名前を覚えるなんて珍しいね』
《お前はいつも私を否定する》
『否定してはいないよ』
《いつだって私はお前で、お前は私なのに》
『……そうだなぁ。轟くんは確かに、特別だった』
《どうしたい?》
《お前が望めば、今すぐにでも。轟を助けにいくことも、世界全てを燃やし尽くすことも簡単なことだ》
私は、カルラのその声を聞いて。
深く、ため息を吐いた。