第48章 原点
「大型敵がここへ向かってる!!」
「飯田、緑谷たちを運んでくれ!!」
「僕は……っ死柄木といなきゃ…!!」
情報が、錯綜する。
怪我人の救助者も、戦闘員も足りていない。
そんな中。
轟の視界の端に、こちらへモグラのように街を破壊しながら突進してくる巨人の姿がチラついた。
(ーーーあの巨人と死柄木を同時に相手するのは無理だ!手負いの死柄木を先に倒す!!)
「波動先輩!!」
「出力、100%!!」
「赫灼熱拳!!」
「ねじれる洪水!!」
技を繰り返し、死柄木を畳み掛ける。
しかし。
追い込むことはできても、決定打が打ち込めない。
「逃げろォオ!!!」
エンデヴァーの声が、一帯に響いた。
その声が、何を意味しているのか。
(ちくしょう…!!)
その言葉が、何を告げているのか。
轟は、理解した。
轟と波動を、マキアの爪が吹き飛ばす。
波動は宙で受け身を取り。
轟は宙を舞って。
地面に身体を叩きつけられた。
「ショート!!無事か!!」
地面に叩きつけられる直前。
轟は、その目にはっきりと。
映していた。
「ーーー…………?」
マキアの背に乗る敵連合の、その中心。
血まみれの彼女が横たわっている、その姿を見た。
轟は震える腕で身体を無理やり起こし。
マキアの背に向かって声を発した。
「っ…フェニックス!おい、いるんだろ!!手を貸してくれ!!!」
「…ッ…轟くん…?」
「フェニックス…!?」
敵だ、という通知がされているはずの敵名を。
轟は、仲間を呼ぶように叫び続ける。
「おい!!」
しかし。
「返事してくれ…!!フェニックス…!」
仲間を呼ぶ声にしては、あまりに悲痛なその呼び声を聞き。
エンデヴァーが、もう少しも力の込められない膝に無理やり力を込める。
その時だった。
「は死んだよ、焦凍。ホークスに殺された」
マキアの背から彼女の代わりに返事を返してきたのは、荼毘だった。