第47章 後ろの正面だあれ
「公安に捨てられたのは嘘?本当?」
『本当。表向きにはね』
「でもお仕事してるの?」
『うん。公安の繋がりを切って、解放戦線、潜入しなさいって言われてた。でも世間的には、みんなの仲間入りしたってことにされてるみたい』
「なんで?」
『さぁ……私が怖がられてるからかな。私の個性と、思考が怖いんだと思う。人をいつか、傷つけてしまいそうって思われてるのかな』
「ふーん…ねェ、このまま敵にされちゃうよ。どうするの?」
『大丈夫』
『きっと、彼は気づいてくれるから』
親のいないちゃん。
夕方17時のチャイムが鳴っても。
帰る家のないちゃん。
他人が言う「普通」になれなかった私たち。
「かごめちゃーん!また明日ね!」
『うん、ヒミコちゃん、また明日』
なんで、ヒーロー。
気づいてあげなかったの?
どうして、ヒーロー。
あなたたち、ちゃんの仲間だったのに。
私、羨ましかったのに。
私、ちゃんとお友達なの、嬉しかった。
でも、私。
ちゃんの本当の仲間にもなりたかった。
「ちゃーん!また、遊びにきてね!」
『うん、ヒミコちゃん、また土日にね』
こんな結末になるのなら。
「ウチに、連合に、おいでよって言えばよかった…!」
敵連合、楽しいよ。
生きやすいよ。
みんな優しいよ。
ちゃんの仲間なんかよりずっと。
ずっとずっと優しいよ。
断られるのが怖くて、ずっと言い出せなかった。
仲間になろうよ。
みんなについた嘘、本当にしちゃおうよ。
私しかちゃんの秘密、知らないから。
二人でこのまま黙っていようよ。
二人一緒なら、平気だよ。
「ーーー何を以て線を引くのでしょう。人を助ける人がヒーローなら、仁くんは……ちゃんは人じゃなかったのかな」