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イカロスの翼【ヒロアカ】

第47章 後ろの正面だあれ




一方、群訝山荘。


「荼毘!どこ行ってた、隊長だろが!!」
「……軍隊ごっこなんざ奇襲で機能してねぇよ。逃げねぇのか、コンプレス」
「おい、も怪我したのか!?トゥワイスが殺られた、たぶんな…それで……」


合流した荼毘と、コンプレス。
荼毘はの身体を両手で抱き抱えながら、彼女の血に塗れて現れた。
彼のコートにおびただしく付着している、その出血量と。
ぴくりとも動かない彼女の身体を見て。
コンプレスが閉口した。


「……あぁ、どうすんだよ…トガちゃん、止めらんねぇじゃねぇか」


荼毘はその場に座り込み。
ただ、彼女の身体を抱きしめながら、戦場で駆け回るトガを生気のこもっていない目で見下ろした。


「……荼毘」


焦点が定まらない仲間の男を見て。
コンプレスが頭を抱える。
その時、地面が割れた。
瓦礫を吹き飛ばし、地下から巨大な腕が現れたかと思うと、戦場で暴れていたトガをその手が捕まえた。


「トガちゃん!?うわああ、荼毘!!逃げろ!!」
「……落ち着け。マキアだ」










「待ったぞ主よ!!!今、会いに行きます!!!」












片思いをしている相手に会いにいくかのように。
ギガントマキアがヒーローを蹴散らし、死柄木の待つ方角へと駆け出した。
その背に乗るのは、旧敵連合の面々と、だ。


「ーーーちゃん」


甲羅のようになっているマキアの背の上で。
トガヒミコは、の死を知った。
動かない彼女の亡骸に近づき、ピタ、と彼女の胸に自分の耳を当てた。


「……え、なんで?……なんでですか?ちゃん、ヒーローの仲間じゃなかったの?」


ねぇ、なんで。
トガがの頬に触れる。
氷のように冷たい彼女の温度に。
トガの瞳から、じわじわと涙が滲み出て、止まらなくなった。


「なんで…?…ヒーローの、仲間だから…一緒にいてくれたんじゃないの?なんで?なんで殺されちゃうの?私たちの味方だったの?違うよね…」


荼毘も、トガも。
彼女の企てを、肌で感じ取っていた。
あまりにも巧妙な彼女の謀。
トガの感情も、理解も追いつかない。
なんで、なんで。
トガが言葉を繰り返す。
その質問に、彼女が答えることはない。


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