第45章 イカロスの翼
ーーー確かに俺の人生は
ーーー落ちて、落ちて、だまされて
ーーー哀れで無意味に映っただろうな
「紅白ってなんで紅白なんですか」
「トガちゃん色の話?」
「なんで赤白がめでたいんでしょう。赤はわかりますけど、白はちょっと」
「ちょっと、何よ」
「好みじゃない」
「好みかよ」
「、なんでおせち食べねぇの?おじさん達食べちゃうよ」
『お箸苦手で』
「お箸ね、わかるー。俺もバッテン箸。中々直んないよねー」
「手でいっちゃおうぜ!気にせず!気にするぜ!」
「気にしません。いっちゃいます、手で」
「うんうんいっちゃおう」
「お前ら、食いづれぇならそんなもん頼むな」
「品の良い荼毘にはわかんねぇよ!」
「荼毘も手でいこうぜ!」
「やれやれ、品のある俺には無理な話だぜ」
「がっつり手でいってんじゃねぇか」
「…なんか、いいな!正月!俺正月好きだ!!大嫌いだけど!!」
正月なんて大っ嫌いだった。
けど、来年もまた。
みんなで過ごせたらいいのに、なんて。
言葉に出かかって、言うのをやめた。
だってあまりにも、悪者らしくないから。
あまりにも、敵らしくないから。
でも、たまの正月くらい。
敵が仲間と楽しい思いしたって、いいだろ。
たまには。
たまにはさ。
自分を求めて彷徨って
自分より大事な仲間に恵まれた。
(ーーーこれより、最高な人生があんのかよ)
死ねよ、ホークス。
「運が悪かった」なんて。
てめェが決めるな。
俺は。
「仁くん!みんなでお餅、食べましょー」
俺は、ここにいられて
幸せだったんだ。
ホークスの翼が、トゥワイスの背から胸を突き刺した。
仲間が地面に倒れるのを間近で見ていた荼毘は。
低い声色で言った。
「……また、殺しやがったな」