第45章 イカロスの翼
「君の名前考えた」
君と、二人で暮らし始めて。
ある朝。
君に言った。
「ヒーロー名!ウィングヒーロー、フェニックスってどう?」
コーヒーに砂糖をたくさん入れながら、寝不足の目を擦って。
俺は、君に言ったんだ。
「翼は片翼じゃ飛べない。二つ必要だから。君と俺で、二人で一つ」
あ、コーヒー飲む?と。
君に聞く前に。
既に二人分のマグカップに、コーヒーと砂糖を同じだけ放り込んでしまってから。
君に砂糖だらけのコーヒーを差し出した。
君は
何も言ってくれなかった。
君は
何も教えてくれなかった。
他に、俺が知らないことがあるのなら。
教えてほしいと、俺が言った。
これからは絶対に。
君のSOSを見逃したりしないから。
そう、言ったのに。
『どうして?』
彼女の声がホークスの頭に響く。
刀を突きつけられてもなお、倍化して襲いかかってくるトゥワイスの姿に、現実に引き戻された。
「ただ、連合の幸せを守るだけだ!!」
「ーーッ連中に伝えとくよ」
トゥワイスの額に刀が突き刺さる直前。
ドォン!!という爆破音と同時。
助けに入るかのように、部屋の壁を蒼炎が吹き飛ばし、荼毘が飛び込んできた。
「伝えなくていいぜ、聞こえてる!」
炎に飲み込まれる直前、ホークスがトゥワイスを抱えて横に飛び退いた。
ゴロゴロと地面を転がって、翼の炎を消すホークスの顔面を踏み抜き、荼毘が笑いながら怒鳴った。
「俺に気付いてなかったろ!?絆されてんじゃんかヒーロー!」