第45章 イカロスの翼
子どもに、迷惑かけたくなかったんだ。
自分一人だって、この世の中、生きていくのはたいへんだろうに。
俺の分まで、飯代なんて大変だろうと思った。
だから離れたんだ。
あの時、ごめんな。
「話し相手がいてくれて、俺、あん時の正月、すげえ幸せだったんだ。裏稼業も、しばらく何年もうまくいってなかったけど…今年の正月は別だ!たくさんご馳走してやるからな!!」
トゥワイスは、そう言った。
ここに来て。
いろんな自分の一面を思い出す。
自分の原点。
大切だった人。
優しくしてくれた人。
あなたもその一人だった。
だから。
叶うことなら。
「ありがとう」
「あなたは運が悪かっただけだ」
「罪を償ってやり直そう」
叶うことなら。
心に傷を負ったあなたに。
もう、傷ついてほしくなかった。
「やり直せるように俺も手伝う」
「あなたは」
「良い人だから」
叶うことなら。
いろんな酷い目に遭わされてきたあなたに。
もう、辛い目にあってほしくなかった。
叶うことなら
ーーーいい仲間に恵まれたんだ!!死んでも俺はみんなの味方だ!!
大好きな仲間と一緒に過ごす日を、一日でも長く。
一分でも長く。
過ごしてほしかった。
『ーーー分倍河原さん』
は、転がったままのトゥワイスに手を差し出した。
『ーーー私は、信じてもらえて、嬉しかった。だから、そんなに自分を責めないでほしい』
あなたに救われた人間もいるから。
はトゥワイスに優しく笑いかけ、自身の瞳から白炎を立ち昇らせた。
トゥワイスの目に闘志が宿ったのを見て、ホークスが身構える。
「ーーーやめろ」
「何を、やり直すってんだ、なァ!?」
トゥワイスはただ。
仲間を敵から守ろうと、這いつくばっていた地面から跳び上がった。
「俺は俺のことなんか、とっくにどうだっていいんだよ!!」
「あなた方と、戦いたくないんだ!分倍河原!!」
そりゃてめェの都合だろ!!!
叫び、自分を倍化させたトゥワイスを見て。
ホークスは一瞬だけ深く瞬きをして。
そして。