第45章 イカロスの翼
地響きと共に。
開戦の狼煙が上がった。
「うぉっ、地震か!?」
『トゥワイス、危ない』
大きく傾いた地面に転がるトゥワイスを、が横になっていたソファから飛び降り、彼の手を引いた。
一方で、講師を務めていたホークスは眉一つ動かさず。
その視線を、敵二人へと向ける。
「えっ!?いでぇ!!」
『ーーー。』
突如として牙を向いたホークスが、天地無用にひっくり返っているトゥワイスと、その手を掴んでいるの二人を、無数の剛翼で取り囲んだ。
『…ホークス』
「動くな」
体勢を少し正そうとしたの頬を、剛翼が瞬間的に掠める。
鮮血が伝う彼女の頬を見て、トゥワイスが泣きそうな声で呟いた。
「どう、なってんだよ…」
ホークスがから視線を外さず、瞬きすることなく。
2人の退路を断つように、出入り口の前に立ち塞がった。
「なァ…!」
「今回は」
ホークスは、まるで。
講義を続けているかのように。
話し始めた。
「とにかく数が脅威でしたので、「二倍」のあなたに少しの猶予も与えたくなかった」
「おい…!」
「あなたを常に」
「おいって、なァ!?」
「マークする必要があった。フェニックス」
君も、と。
ホークスが瞬きをしないまま、視線をに移した。
「君の個性は、敵に回したら負けだ。現状、誰も…どのヒーローも君には勝てない。可能性があるとすれば、イレイザーヘッドの抹消ぐらいだ。しかし彼は死柄木がいる方に、絶対に必要だった。だから俺は今、君を止める術を持たない」
『……ホークス、私は』
「お願いするしかない。かつて同じ夢を見た君に」
「ーーー抵抗しないでください」
「あなた方はこのまま拘束し」
「警察に引き渡します」
「ちょっと…待ってよ…」
足下で転がっているトゥワイスが涙を溢した。
「あぁあ……ねぇえ」
いっつも、こうだぁ。
トゥワイスが掠れた声で、自分の過去の行いを嘆いた。
『…トゥワイス』
「あぁあ、ごめん……!!俺のせいだ…!!!」
またかよォ。
トゥワイスが声にならない声をあげて。
涙をボタボタと溢れさせる。