第45章 イカロスの翼
「フェニックスは敵だ」
「「「………は?」」」
目の前の大人は。
何を言っているんだろうと、3人は思った。
「…エンデヴァー、何の話ですか?」
「事実だから伝えた。コスチュームに着替えろ」
作戦決行の前日。
その日のインターン活動が終了し、エンデヴァー事務所から帰還した緑谷、爆豪、轟、。
就寝後。
深夜、個別でエンデヴァーからの呼び出しを受けた。
「荷物を持ち校門前に来い。他の生徒には決して情報を漏らすな。にもだ」
車に3人押し込まれて、向かった先はエンデヴァー事務所。
理由も何も知らされず、一夜明け。
今朝方、エンデヴァーから聞いた。
「これから作戦に貴様らを組み込む。感傷に浸れるのは一時間だけだ。浸り終わったら、準備しろ」
「ま、待って…!意味がわかりません!!」
「わからなくていい」
意味など、わかる時は来ない。
エンデヴァーは、顔から表情を失った息子を見つめて、諭した。
「……焦凍。から、何か聞いていることはあるか」
「………………何か、だと…?何の話だよ…」
「何も聞いていないのであれば、もうどうしようもない」
は。
フェニックスは、お前たちの敵だ。
エンデヴァーはそう何度も告げて、俯いたまま動かない、焦凍の肩に手を置いた。
「ッ!」
轟はその手を振り払い、赤くなった瞳でエンデヴァーを睨んだ。
「そんなこと、あるわけねぇだろ…!ふざけんのもいい加減にしろよ!!」
「…焦凍」
「おい、黙って聞いてりゃ何の冗談だ…?夜中拉致っといて、朝っぱらから馬鹿げた寝言言ってンじゃねぇ!」
「お前たちは病院からほど近い位置に配置してもらえるよう手を回してある。と顔を合わせることはないだろうが、もし、作戦がうまくいかないことがあれば……」
作戦が失敗したら。
お前たちにも、戦ってもらう。
戦って、を止めろ。
彼は、そう言っていた。