第5章 可愛い、超可愛い
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個性「カルラ」
彼女は、常闇のダークシャドウのように、身体の中に固有の生命体を宿している。
その名は「カルラ」。
彼は、対象を焼失させるほどの高温の炎を生み出す。
高エネルギーを発生させる鳥の姿に似たその本体は、ヒトの目で直視することが困難なほどに光り輝いている。
「ム!あの小さな鳥は君の個性か!?」
「すげえのにちっさい…!」
「えっ、飯田君瀬呂君見えるの!?見たい!!けど眩しくて見えない!小さい!?小さいの!?」
「緑谷君、俺のヘルメットを貸そ…いや、今はそれどころではない!」
批評するような周囲の言葉を聞き、カルラは、うっすらとヒトの顔のように造形されている自分の頭を、クラスメート達の方へと向けた。
そして、その燃え盛っている身体のどこにヒトで言う声帯があるのかは判別できないが、彼は口を開き、はっきりと言葉にしてへ問いかけた。
≪、アレがうるさい。燃やしていいだろうか≫
『…アレじゃない、緑谷君だよ。個性オタクだから、君に興味があるだけだよ。別に、小さいことを否定してるわけじゃない。だから燃やしちゃダメ』
≪承知した≫
『囲まれてるの。力を貸して』
≪承知した≫
は表情を曇らせ、カルラは周囲をぐるりと見渡す。
そして、を集団で取り囲んでいるらしい有象無象に、視線を留めて、涼しげな声で言った。
≪、アレが邪魔なのか≫
≪では、アレらは燃やしていいのだろうか≫
眩しいほどに光り輝いて見えるカルラは、平然と
現れるたび、そんなわかりきったことを
何年も何年も、飽きずにまた
に問いかけてくるのだった
『…カルラ』
その度、はまた
『……人を、燃やしたりしてはいけないよ』
同じ言葉で返事を返す。
そう返答したの顔を横目で見て
カルラがその表情を変えることなく応答した。
≪仕方ない、承知した≫