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イカロスの翼【ヒロアカ】

第44章 君は友達




がゆっくりと、繋いだ手を解く。
寒いから中に入ろう。
そう言って立ち去ろうとする彼女の手を引き留めて、問いかけた。


「ーーー…なんで」


聞きたいことが山ほどある。
何でエンデヴァーから敵視されているのか。
どうして急に訓練をしたい、などと言い出したのか。
どうして。
どうして日に日に痩せていくのか。
どうして。
どうして、轟の想いを一瞬でも、受け止めようとしてくれたのか。



















『…今日はもう、寝ようか』








































































ーーー荼毘














俺を呼ぶ声がする。
いや、違えな。
呼ばれてるのは俺じゃない。
俺が、呼んでるんだ。














ーーーなァ荼毘、今日はいつ帰ってくる


















呼んでいるのは、俺だ。
ガキの頃の俺。
あんな、可愛いこと聞いてたっけか。
懐かしいなァ。
全てが懐かしい。














ーーー荼毘、置いていかないでくれよ







ーーーなァ、一緒にいてくれ











ーーーお前の仕事、邪魔したりしないから
















ーーーついて行ってもいいだろ?





























「荼毘」は昔から俺に興味なかったなァ。
気づいたら、いなくなっていて。
気づいたら、俺の隣で丸まって眠りについていて。
野良猫みたいな奴だった。
俺も荼毘も、それぞれ好き勝手に生きていた。
あの頃は、毎日最低な気分だったけど。
お前とあのボロ小屋で眠る夜だけは、少しだけマシだった。





















「ーーー……荼毘」













眠りから醒めて。
彼女の名前を呼んだ。
ベッドから天井を見上げて。
虚空を掴んだ。




























「……もう、いなくなったりしねぇよなぁ」












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