第44章 君は友達
初めは、優秀なヒーロー候補生達に、再起不能な怪我でも負わせるのでないかと危惧していた。
しかし彼女は訓練のやめ時をしっかりと理解しているようで、次の日、緑谷たちがインターンに参加できなくなるような怪我は決して作ってこなかった。
自分のことはどうだっていいと言っていた彼女。
その言葉通り、3人がこのインターンで何かを得られるように、尽力しているように見える。
「かっちゃん!大丈夫!?」
「ダイジョブだわ駆け寄ってくんなキショい」
「かっちゃん!?」
『轟くん、立てる?』
「……今立てない」
「焦凍!!大丈夫か焦凍!?」
「近寄んな気色悪ィ」
「焦凍!?」
口を押さえている轟の背を、が優しくさする。
明らかに彼女の飛び蹴りで吐き気を催しているのだろうが、はこの訓練中、ごめん、とは一度も口にしなかった。
「…相手にならねぇな…悪い」
『話さなくていいよ』
「おい、もう一度だ!!」
「かっちゃんダメだよ、腕も本調子じゃないみたいだし、今日は休もう!」
「やられっぱなしでいられるか!!休んでる暇なんざねェんだよ!」
『すごく良い心意気。でも今日はもうしない』
戦えや!と。
爆豪がポカポカと軽く彼女の頭を小突く。
緑谷が必死に止めに入っていると、轟がようやく息を吹き返した。
「…また、明日も頼む」
『うん。訓練しよう』