第43章 仲間はずれ
「貴様、何を……!」
『私は自分の意思でここにいます。誰かの策略なんて何もない。焦凍くんとインターンに来たかったからここにいる』
がエンデヴァーに向かって、怒気を発した。
ガラリと変わった彼女の雰囲気を見て、エンデヴァーはまた何かを問いかけようとして、黙った。
ホークスが、彼女は敵だと言っている。
しかし、彼女は。
ホークスが何かを知らせたことも。
エンデヴァーが彼女を「敵」だと認識したことを知っても。
ただ当たり前のようにそこに立っている。
戦うでもなく、逃げるでもない。
自分を庇った焦凍を見て、少しだけ。
申し訳なさそうな顔をした。
『焦凍くんに、危害を加えたりはしません。仲間はずれにされてもいいんですけど、勿体無いと思います。ホークスが言う通り、誰も私に勝てないんで。インターンの、練習相手に…ちょうどいいと思うので。私を上手く使ってもらえれば』
間に挟まって話を聞いている轟と緑谷、爆豪はおろか、周りで様子を見守っているサイドキック達も、話についていけていない。
そんな中、エンデヴァーとは言葉を交わす。
『たぶん、貴方含めこの事務所のプロヒーロー全員敵に回しても負ける気がしない。やりたいなら、やりますが、どうします?今捕まるつもりはない』
「ーーー。」
『ホークスにはホークスの。私には私の言い分がある。…所属が違っていようがーーー』
『同じ…夢を見てるつもりなんですが、なかなか上手くいかなくて』
ヒーローが
暇を持て余す社会。
が遠い目をして、窓の外を飛ぶ鳩を見ながら呟いた。
エンデヴァーはそんな彼女の横顔を見て。
なぜか、自身の妻の面影をその顔に重ねた。
「ーーー……すまない、焦凍。勘違いがあったようだ」
戦意など全く見受けられない、息子の友達を見下ろして。
戦友が「敵だ」と言った、一人のヒーロー候補生を見つめて。
轟炎司は、言った。
「ーーー……話が逸れた。俺がおまえたちを育ててやる」