第43章 仲間はずれ
「俺の息子に、取り入ったか…!」
周りで見ていた緑谷、爆豪たちですらビリビリと肌でエンデヴァーの威圧を感じ取っていた。
直線的に殺気を向けられているはといえば、エンデヴァーに怪訝そうな顔を向けて、閉口したままだ。
冷や汗ひとつかかず、身じろぎもしない彼女を見て、遠目に見ていたサイドキックのバーニンが「あの女、すげぇな…」と呟いた。
取り入った、という言葉を聞けば。
あぁ、焦凍くんが夢中になっているのか、という推察が初対面のサイドキック達が出来てしまうほど、は佇んでいるだけで存在感がある。
特徴的な瞳をエンデヴァーから外すことをせず。
彼女は思考して、答えた。
『ーーーそれと』
『これとは』
『話が別です』
エンデヴァーが一瞬、彼女を捕えようかと身構えた。
まさか自分の父親が初対面の彼女に手を下すのではないかと、そんな危機感に駆られ、焦凍がエンデヴァーの身体を飛び越え、とエンデヴァーの間に入った。
自身の背にを隠し、エンデヴァーに向かって焦凍が怒鳴った。
「なんつー態度とってんだ、俺の友達に、失礼なことすんなよ!!!」
普段から冷静な轟の怒声を聞いて、現状がよく分かっていない緑谷も轟の隣に駆け寄った。
「ど、どうしたんですかエンデヴァー!」
「焦凍…!!」
「頭に血ィ上りすぎだろオッサン。たかが息子のダチ一人に」
フロア中のサイドキック達に注目されている現状。
敵は10万以上にのぼるというのに、自身のヒーロー事務所に内通者がいるかどうかの情報が、まだない。
はたから見れば。
ただ、息子を拐かした女子高生に、エンデヴァーが怒鳴り散らしているだけに見えるだろうが、彼女を捕らえてしまえば、雄英にも情報が行ってしまう。
(ーーーなぜホークスは捕らえなかった?敵だと分かっていて、なぜーーー)
作戦上の理由か、身動きが取れないかどちらか。
ほんの数秒の間思案していると、彼女は、一瞬焦凍の方に視線を向けて、またエンデヴァーを見据えた。
『…この事務所には、「他に」いないはずなんで少しだけ話しますがーーー』
エンデヴァーがハッとした。
は、言った。
『何かを「読み取った」なら、無駄な時間はここまでにした方がいいですよ』