第43章 仲間はずれ
超高層ビル1棟を貸し切ったエンデヴァー事務所に到着するや否や、エンデヴァーは深刻そうな面持ちで、所長室に篭ってしまった。
数多くのサイドキックに囲まれて。
緑谷、爆豪、轟、は手持ち無沙汰に待機していた。
所長室に篭っているエンデヴァーといえば、ホークスから受け取った赤い本を片手に、熟考をしていた。
(…腑に落ちん。少なくとも俺の前で、お前はいつも戯けた面でいた)
今日、インターン生に背を向けて。
エンデヴァーに向かってだけ話しかけてきていた時のホークスの表情を思い出し、エンデヴァーは赤い本のページをペラペラとめくっていく。
優秀だと褒めるフェニックスの話をしている時ですら、彼は真剣な面持ちで。
まるで別人のようだった。
(真逆。ーーー本心じゃない)
ーーーマーカー部分だけでも
ーーー二番目の、オススメなんですから
マーカー部分のみ目を通し、気づいた。
「敵」
「は」
「解」
「放」
「軍」
エンデヴァーが立ち上がり、本のページを捲る手を速めていく。
「連合が乗っ取り」
「数十万以上」
「4か月後決起」
「それまでに合図送る」
「失敗した時」
「備えて数を」
「火の鳥は」
「敵」
ーーーフェニックスは優秀なんで
ーーーしっかり育ててやってくださいね
エンデヴァーが所長室から飛び出してきたかと思うと、の方へ向かってものすごい勢いで足早に距離をつめた。
すぐ隣に立っていた焦凍を押し除け、物理的に距離を遠ざける。
鬱陶しそうに「なんだよ」と轟が異議を申し立てるが、エンデヴァーは場所を譲らず、ジッとを見下ろした。
「ここへ何しにきた」
『……インターンに』
「なぜ」
『…学校の課題で』
「こっちの二人ならまだ顔を見たことがある。お前はなんだ、焦凍の友達だと聞いていたが」
エンデヴァーの沸点が超えたのか、その場でゴウッと彼が体にまとう炎が燃え上がる。