第41章 袋詰めの思い出
助けてくれたんだ、と。
トゥワイスが言った。
暖炉のあるボロ屋で匿ってもらった。
冬の間、一命を取り留めた。
その後しばらく、子どもだった彼女に面倒を見てもらったという。
「なんで彼女だってわかる?少年だったんだろ、相手」
「あの特徴的な目を覚えてる。きっとちゃんだ」
「………へぇ」
子ども一人。
けれど、彼女はしっかりと生活をしていたらしい。
「着てるものとか、家の物とか…ボロボロではあったけど、ちゃんと暮らしてた。どこから資金を得てたのかわからないが、ちゃんと買い物に行って帰って来るんだ。俺の誕生日にタバコをくれたんだ。だからきっと、ブローカーと繋がってたんだと思う。子どもがタバコなんて買えねぇよな」
「トゥワイス、なんでお前そのまま一緒にいなかった?」
「迷惑だろ、敵が転がり込んできたら!警察が来るかもしれねぇ。そしたら、細々と暮らしてるあの子までブタ箱行きだ」
ふーん、と。
荼毘が聞いておいて、興味なさそうな声を発した。
「なんでもいいけど、お前それあいつに言っても無駄だぞ」
「なんで!?お礼言わなきゃ!!」
「ガキの頃の記憶飛ばしてる。今までの様子見てたら、覚えてる素ぶりはなさそうだろ」
「なんで!!?」
「なんでなんでうるせぇな…知らねぇよ」
部屋の扉が開き、チーズを大量に抱えたとホークスが戻ってきた。
その彼女に向かって、トゥワイスが叫ぶ。
「なんで!?」
『何が』
「ちゃん俺だよ!!俺俺!!」
『何。トゥワイスは知ってるよ』
「そうじゃなくて…あの…ほら!!」
トゥワイスがそこらへんにあったポリ袋を頭からすっぽりと被った。
顔が透けて見えるだけに、の不可解そうな視線が堪える。
「マックの紙袋じゃなきゃだめだ!」
「その使用方法にマック限定とかあんのかよ。、なんかトゥワイスが小さい頃俺と会ってないかってさ」
『会ってるよ』
「会ってるの!?覚えてるの!?」
目玉が飛び出るほどコミックのように驚くトゥワイスを眺めて、がチーズフォンデュの準備を続けながら、答えた。
『ヒミコちゃんの次にできた大きなお友達だった』