第41章 袋詰めの思い出
「はぅあ!?」
コタツによって、心地よい眠りに誘われていたトゥワイスが目覚めた。
コンプレス、スピナー、トガも、満腹感とコタツの魔力に抗えず、全員が眠りについていた。
リ・デストロ、トランペット、スケプティック、外典の姿もなく、ホークス、の姿もない。
部屋の中にいるのは旧敵連合のメンバーだけだ。
眠りこけているメンバーの見張り番でもしていたのか、珍しく荼毘が身体をソファに預けながら、はっきりと意識を保っていた。
「荼毘……」
「あ?」
「ちゃんは?」
「チーズ調達」
「………」
「どうした」
「…あのよぅ荼毘…俺、もしかしたら昔、ちゃんに会ってるかもしれねぇ」
「へぇ?」
お前もホームレスかよ、と。
荼毘が興味深そうにそんな言葉を口にした。
「えっ、なんで知ってんだ」
「あいつホームレスだろ。元々さ」
「いやそんな情報知らねぇよ!?なんでおまえそんなにちゃんに詳しいんだ!」
「詳しくはねぇよ。知らねぇことの方が多い」
「でも、でもよ…そうか、小さい頃から苦労してたもんな…だから敵に。かわいそうに!全然ンなことねぇ!」
「二番目のお前に同意だ」
可哀想なんかじゃねぇだろ、と。
荼毘はまだコタツの上に広がっている料理の中から、ローストビーフを箸で摘んで口に持って行った。
とても上品な仕草を見て、トゥワイスが閉口する。
「おまえ、本当は育ち良いだろ」
「いや?そうでもねぇけど、豚みてぇにかき込むお前らとは違うな」
「ハァ!?誰が豚だ!豚さんと呼べ!!」
「とホークスは箸が苦手だよな。フォークとスプーンで食えるもんか、片手で食えるもんばっか食ってる」
あいつら器用そうなのに、と荼毘が鼻で嘲笑った。
「結構多いよな、敵って。箸使えないやつ」
トゥワイスの呟きに、コタツに突っ伏していたコンプレスが同調した。
「自転車に乗れねぇ奴も多い」
「…コンプレス、寝たふりはやめたのか」
「いやいや、寝てたって。トゥワイスの「はぅあ!?」で起きた」
「トゥワイス、あいつと会ったのは何年前だ?」
「んー…はっきりとは思い出せねぇ…ちっちゃかったなぁ」
「そうかよ。妙な縁もあるもんだ」