第40章 闇の饗宴
「異能解放軍が目指す社会は、異能の強さが人との優劣を決める社会だ…!だから」
親が居なかろうが。
頭が悪かろうが。
貧乏だろうが。
どんな思考を持っていようが。
どんな見た目をしていようが。
どんな下賎な生まれだろうが。
「何も関係ない…ただひたすらに、自由なんだ」
壊して、創る。
新たな社会を夢見て、外典がそう言った。
下賎な生まれ、という言葉に、ホークスが一瞬みじろいだ。
外典はそんな彼の様子には気が付かずに、言葉を続ける。
「だから、あいつもここに来たはずなんだ…なのにいつまでもヒーローに肩入れする…だから信じてもらえないんだ。リ・デストロにも、スケプティックにも」
「…あなたが彼女の監視を止めてると聞きました。それはどうして?」
「好きだからだ」
「……!」
彼女が、僕は、と。
外典が足を止めて、ホークスを見つめた。
「好きなら、助けてやるのは当然のことだろ」
「…そう、ですね」
脇目も振らず。
ただ、真っ直ぐに。
彼女だけを見つめている外典の言葉に、またホークスは閉口してしまった。
革命を夢見る構成員の一人、たかが敵の一言に。
ホークスは胸を締め付けられていた。
「あいつはまだ諦めきれていないんだ。自分が「こっち側」の人間なんだって、信じたくないんだ。けど、はたから見ていれば誰だってわかる。ヒーロー達と暮らすあいつは息苦しそうで見ていられない」
「ホークス!もうだいぶ鍋つついちまったぞ!」
「遅くなってすみません」
ほら!と。
戻ってきたホークスを手招きして、トゥワイスがまた鍋の乗ったコンロに火をつけた。
こたつの一辺を占領しているスピナーが、テレビ放送されている40人近くのアイドルグループのステージを眺めて、「みんな同じ顔に見える」と呟いた。
「それ老化よ、スピナー」
「コンプレス違いわかる?」
「わかんない。髪が短いのが3人、他ロング」
「おじさんですね、二人とも」
「トガちゃんはわかる?」
「ショートパンツが2人、他スカートです」
『誰一人として顔の区別ついてないな』