第40章 闇の饗宴
新年を迎える前に、ソファに横になって眠ってしまっている荼毘の近くで、本日一杯目のジュースを口にしたが、出入り口付近に立つ外典を見つけた。
外典と彼女の目が合った。
『おいでよ』
親しげに、敵に声を掛ける彼女を横目で見て、ホークスはトゥワイスがよそってくれた鍋を受け取った。
外典は足早にの側へ近寄ってくると、彼女が腰掛ける二人がけソファの横にストン!と勢いよく座った。
がやがやという人の声が廊下から聞こえてくる。
真っ直ぐにこちらの部屋へ近づいてきた声の一団は、談話室の扉を開け放ち、絶句した。
「……お前達……何をしているんだ」
「何って、鍋パです」
「出資元のリ・デストロがまだ仕事で到着していないにも関わらずか!?あぁあカニが!!掻っ捌かれている!!」
「まぁまぁ、スケプティック落ち着きなさい。私達もまだ食べられる程度には残ってるじゃないか、残飯が」
「貴方に残飯を漁らせることになるなんて…!!」
叫ぶスケプティックと、膝から崩れ落ちるトランペット。
そんな中、リ・デストロはの隣に座っている外典を見て嬉しそうな声を上げた。
「おや、仲直りしたんだね。いいねぇ、ホッとする」
「………僕はまだ許してません」
『えぇ?そうなの?今年あった嫌なことなんて忘れちゃえよ』
「過ぎ去ったことにするな、今進行中なんだが!」
「フェニックス、君はエンデヴァーの所へインターン申請を出したそうだな」
『ええ』
「何故?」
問いかけてくるリ・デストロは、わずかに残ったカニの足をつまみ、個性を使って片腕を巨大化させ、その堅牢な甲羅を握りつぶした。
ワイルド過ぎるカニの割り方を見て、空気を読めていないトゥワイスが「殻も中身も粉々だ」と呟いた。
「何故かと聞いている」
『深い意味はありませんが』
「深い意味もなくNo.1の所へインターンに?我らの決起について、情報漏洩などもっての外だ。わかっているだろうね」
『……そんなことしませんし、そんなつもりもありません』
「何故か、という質問をはぐらかすからだ。なぜ山荘ではなくエンデヴァーのもとへ」
パチ、と。
死んだように眠っていた荼毘が目を覚ました。
はテレビを見ながら、答えた。
『ーーー友達に、一緒にいたいと言われたので』