第40章 闇の饗宴
フェニックスとトゥワイスが、普段二人でいるところを見かけることはなかった。
フェニックスには取り巻きがいつもくっついているし、トゥワイスはいつも神出鬼没に敵連合の仲間の元を行ったり来たりしている。
二つの組織が結託し、今の超常解放戦線があるものの、元より敵連合だった連中は、敵連合のメンバーと傍にいることを好むようだった。
「あれ?ちゃん荼毘は?」
『鍋食べないって』
「えぇっ、せっかくの大晦日に!!」
「拗ねてんの?エンデヴァーのところに行くっていうから?」
「荼毘、と居るの好きだもんなー。お熱いぜお二人さん」
『コンプレス、そういうんじゃない』
「そういうんじゃないってさ!そりゃそうだろ!当たり前だぜ!よくわかんねぇよ!」
『トゥワイスはそのマスクの状態でどうやって鍋食べるの?』
「ちょっとずつめくって食べる」
『マスクを?脱がないの?』
「脱いだら裂ける」
『克服したわけじゃないんだ』
「いや、克服した!してねぇ!」
『まぁいいけど』
ところで、と。
が鍋の準備を進めながら、トゥワイスに問いかけた。
『これ闇鍋?私の知ってるのと違う』
「闇鍋だろ?みんな好きなものぶちこむんだ。ごった煮だな」
『………チーズは?』
「チーズもありなんじゃね」
「食堂行ってくすねてきてやろうか」
『………ホークス、これ闇鍋?』
突如話題を振られて、みんながホークスに注目する。
誰にも見られない角度を向いて、深刻そうな表情で思い悩んでいたホークスは振り返り、にこやかに笑った。
「え?闇鍋でしょ?」
『……思ってたのと違う』
「何想像してたの?」
『チーズと鍋とパン』
「………それチーズフォンデュじゃない?」
『「チーズフォンデュ?」』
コンプレスが携帯をタップし、ほら、と画像をと、同じく素っ頓狂な声をあげていたトゥワイスに見せた。
『これ。これ闇鍋』
「、これチーズフォンデュ」
『嘘だ』
「嘘じゃありませーん、おじさん無駄な嘘つかないー」
「ふぉ……もっかい言って」
「チーズフォンデュ」
「それ食べ物?美味そうだな!ぜってぇ食いたくねぇ!」
『美味しいよ、後で食べようよ』
「嫌だね、もちろん!チーズ祭りだ!」