第38章 夢の一端
「今日は6時からクリスマス会するらしい。その前に少し寝ておけよ。すげぇ疲れた顔してる」
轟が乱れたの前髪を撫でて、直してくれた。
後から帰ってきた生徒たちのグループの中から、「リア充が、爆ぜろや…!」という爆豪のようでありながら、確実に峰田の声が聞こえてくる。
『…クリスマス…もうそんな時期か』
「…、夕食が終わったら、後で時間くれないか」
渡したいものがある、と轟が言った。
はひどく疲れた顔を轟に向けて、こくりと頷いた。
「メリクリー!!」
「衣装も揃えようぜ、ヤオモモ頼んだ!」
「砂藤、料理手伝う!」
クリスマス会の準備が進む。
轟に寝てろよと言われはしたものの、もみんなと変わらず準備の手伝いをしていた。
「ちゃんプレゼントなんにしたん?」
『Amazonギフト券』
「合理的!一番なんやかんや嬉しいやつ」
八百万が創造したサンタコスチュームにみんな身を包み、クラス全体がクリスマスモードに染まった時。
寮の玄関が開いた。
「遅くなった」
「とりっくおあ…とりとー?」
「ちがう、混ざった」
「サンタエリちゃん!!可愛ーー!!」
玄関先に現れた少女の姿に、席に座って準備万端だった数名の生徒たちが駆け出した。
付き添いの相澤とエリがリビングルームに足を踏み入れた。
相澤は活気あふれるクリスマス会の中で、一人だけ疲れた顔をしているを眺めて、意図的に彼女の近くへ腰掛けた。
「じゃあ、みなさんご一緒に」
「「「メリー、クリスマス!!!」」」
並んだご馳走に、クラスメイトたちが手を伸ばす。
いつものようにみんなが取り終わるのを待ってから動き出そうとしていたの肩を、相澤が背後からトントンと叩いた。
「ちょっと」
軽く声がけをして、相澤がみんなから外れたところへを連れていく。
その様子を見ていた轟に、「轟、醤油取って!」と隣の瀬呂が話しかけてきた。
「…あぁ」
喧騒から離れたテーブル席に、担任と二人腰掛ける。
相澤は単刀直入に言った。