第38章 夢の一端
「あ!サボりだ!」
「、どこ行ってたん?」
結局。
の姿を見たのは、放課後の寮のリビングスペース。
彼女は、この土日でひどくやつれたように見える。
またコーヒーを使って糖分の過剰摂取をしている姿を見つけたクラスメイト達は、靴を玄関で脱ぐや否や、彼女に詰め寄った。
「おまえ今日の合同訓練絶対出た方がよかったよ!」
「ちゃん最近特訓してた心操くんが来てたよ!すごく強くなってた!」
『そうなんだ』
「メリクリパーティーやんぞ!買い出し行こ行こ!!」
「みんな!事前に話してあったプレゼントは一度俺に預けてくれ!」
「誰が何買ったのかわかるのがいいんじゃん!鍋の準備してから、買ってきたもの披露しようぜ!」
今日は一年で一度のクリスマス。
1年A組は、みんなでクリスマスパーティを企画していた。
生徒たちが部屋着に着替えてこようと、男女別のエレベーターの前に詰め寄せる。
人がはけたキッチンで、ぼんやりとコーヒーを口にしているを見て、轟が彼女の肩を叩いた。
「ーー…」
その時だった。
が突然目を見開き、轟を睨め付けた。
ボウッと瞬間的に発火した彼女の身体から、左手を炙られた轟がパッと距離をとる。
『あっ』
「おぉ」
突然の出来事に。
轟が気の抜けた声を出す。
が顔面蒼白になって、轟のもとへ駆け寄ってきた。
『ご、ごめん…びっくりして、ごめ、ごめん』
「…何ともないから気にすんなよ。俺の身体は、炎には耐性があるから」
が焦って轟の左手を手に取った。
ジッと、轟とが、焦げ跡一つないその手のひらを見つめた。
『……良かった、ごめんね』
「いい。それより、今日はどうしたんだ。水族館の後からお前、帰ってきてないだろ」
『……他県に弾丸で行ったんだけど、向こうでちょっと色々あって』
「その色々が聞きたい」
『色々は色々だよ』
はぐらかすに、轟が珍しくムスッとした顔をして見せた。
「今日一日、お前がいなくて心配だったんだが」
『ごめんって』
精一杯の轟の言葉のカケラもには響いていないことが、轟は手に取るように分かった。