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イカロスの翼【ヒロアカ】

第35章 犯罪者の手記




立食パーティーの会場を盛り上げているのは、国民に知られた歌姫だ。
ダンスミュージックさながらの楽曲が、解放戦線の門出にふさわしい節目のこの時を、構成員達を活気づけている。


トガのせいで出血してしまったは、外典とトガが揉めている間に、席を外してしまった。
後を追うように姿を消した荼毘が気に掛かり、ホークスは、トゥワイスと二人、「山荘の道案内をしてほしい」という理由で会場を後にした。


「ーーー気に食わねぇな」


通りすがった部屋の一室。
剛翼が、微かに荼毘の声を捉えた。


「トゥワイス、ここの部屋はなんです?」
「ん?ここか?なんだっけここの名前、ダンスじゃなくて…談笑でもなくて……」
「談話室?」
「そうそれだ!違ぇよ!」
「どっち」


トゥワイスがバァン!と扉を開け放った。
そこには、ジュースの染みと血がついた上着を脱いで、キャミソール姿になったを、壁に追い詰めている荼毘の姿があった。
アワワワ、とトゥワイスが情けない声を発して、マスクのあご部分をぐぃーんと引っ張る奇行に走った。


「壁ドン!!俺初めて見た!!」
「あ?…取り込み中だ、失せろ」
「何してる。彼女から離れろ」


今までヘラヘラとしていたホークスが、がらりと表情を変え、怒気を発した。
ホークスを取り巻く空気の変化にトゥワイスが驚き、目を丸くして隣に立つ彼を見た。


「離れろ」


No.2ヒーローの気迫が、一直線に荼毘へ向けられる。
荼毘はその場を離れようとしないホークス達を見て舌打ちし、自身のコートを脱ぐと、にそのコートを投げつけた。


「てめぇ忘れたのか。監視カメラ何台もつけて、こっち向いてんじゃねーよ」
「…!」
「荼毘!じゃあなんでおまえは女子高生のお着替えタイムに同席してんだよ!羨ましい!嫉妬するぜ!妬ましい!!」
「どのお前も羨ましがってんじゃねぇよ。片腕出血してどうやって包帯巻くんだよ」
「確かに!正論だ、いやおかしいね!」


荼毘のコートに埋もれていたが頬を赤らめて、胸元でコートを押さえながら、ソファ席に置いてあった上着に手を伸ばした。


「っごめん」


ホークスが一度部屋の外へ出た。
背を向けて視界に映らないようにしていても、死角がないように設置された監視カメラのせいで、その行動は意味を持たない。
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