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イカロスの翼【ヒロアカ】

第35章 犯罪者の手記




外典の隙を狙って、トガがの左腕に噛みついた。


『いて』
「トガちゃん!まだジュース飲んでる途中でしょうが!!」


鈍い彼女の反応を聞き、コンプレスが叫んだ。
外典が血相を変えてトガの方へ駆け出していき、パーティー会場中から氷を集め、トガの立っている場所へ氷塊を投げつけた。
トガが後ろに飛び退くと同時に、の腕からポタポタと鮮血が滴り落ちる。


「わわわ、血が…!ごめんな!」
『なんでコンプレスが謝るの』
「トガちゃんごめんなさいしなさい!!」
「飲み終わるの待てなくてごめんなさい」
『いいよ』
「そこじゃない!トガヒミコ、貴様…!!!」


ギャンギャンと騒がしい敵達。
突如、他人に噛みついて、流血事件を起こして。
「ごめんなさい」で許される世界が、ホークスの眼前に広がっている。
異質なその空間にが存在していることが、ホークスは何よりも不自然に思えて仕方なかった。


(ーーー公安に知らせないと。がこの場に存在していることを。ただ、彼女の真意が読めない。極秘事項として扱わなければ)


敵か。
味方か。
計り知れない彼女の秘め事。
闇が蠢くパーティーで、彼女は平然と敵連中と言葉を交わす。























「外典様があの子を連れてきてさ、戦ったんだ。一騎打ち」

「山一つ消し飛ばす個性持ちなんだよ。すげぇよ、解放軍には絶対必要だ」


聴衆からの評判は。
誰に聞いても上々だった。


「実は、ヒーロー達の一部ではトガヒミコが彼女のことを「かごめちゃん」って呼んでたって報告があるんですが…トゥワイス、なんか知ってます?」
「あれだろ?トガちゃん、昔ちゃんと会ったことあるんだってさ。本当にちっちゃい時みたいだけどさ」


連合からの評判は。


「公安から捨てられたって…可哀想だよな。まだ学生だぜ?」


誰に聞いても、肯定的だった。


「彼女さ、ヤクザの作戦の時にいたんだよ。俺、捕まりそうになったんだけど、トガちゃんが包んでくれた頭のハンカチ、返してくれてよ。後から気づいたけど、多分見逃してくれたんだよ」











誰に聞いても











誰から見ても










彼女は、敵の味方だった。

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