第35章 犯罪者の手記
『ヒーロー公安委員会。私は裏工作員だった。4年前の公安からのチームアップ要請あったでしょ。囮捜査で私が潜入して、キミが表舞台で敵を捕まえた。何でこんな子どもを作戦に入れるんだってキミは騒いでたけど、それは私が公安のエージェントだからだよ』
そんな架空の事件の話を、は表情も変えず。
淡々と周りの聞き耳を立てている構成員達にも聞こえるように、語って聞かせた。
「今どういう関係なんだ」
聴衆の一人、外典が話題に食いついてきた。
『たまにプライベートで会う。気が合うと思ってたけど、こんなところまで気が合うとは意外だった』
は少しだけ笑って、「こんなところ」と言うと同時に、靴で床をトントンと叩いた。
(ーーーライン切りをした。なぜ?彼女は俺が敵連合に潜伏する任務を受けていることを知ってる。ここにいる理由だって、想像がついているだろう。なのに、俺が公安と繋がっていないとも証言した。じゃあなぜ君がここにいる?なぜ敵連合と接触していながら、俺に何も言わなかった?どっち側に君がいるのかわからない)
混乱していくホークスの目の前に、外典が荒々しい足音を立てて近寄ってきた。
睨め付けて見上げてくるその青年の圧を感じ取りながら、ホークスは笑みを絶やさない。
「おまえ、の何なんだ」
「……それは俺も聞こうと思ってた。貴方は、彼女の何なんですか?」
「質問に質問で返すなよ、公安の犬が…!僕はおまえを一切信用していない。に軽々しく話しかけるな」
お前もだ、と。
外典が荼毘を睨みつけ、威嚇する。
プッ、と荼毘が吹き出し、アッハッハと笑い声を上げた。
「相変わらず情操教育のなってないガキだなぁ。なんの所有意識だよ。もうアイツは俺の部隊員だ、我が物扱いはやめろよ。と話す度に噛みついてきやがって、うぜェんだよ」
「お前はいちいちとの距離が近いんだ…!半径1メートル以内に近づくな!」
「外典はよ、ちゃんが好きなんだよな。なんか学校通ってなかったみてぇでさ、好きな子との距離感がわかんないらしい」
「へぇ、解説どうも。えーと…」
「トゥワイスでいいぜ!みんな色々言うけどさ、俺はさっきお前の話、信じるからな!」