第35章 犯罪者の手記
茫然自失になりながら、何とか立食パーティー会場へと荼毘と足を運んだ。
混乱する頭を何とか整理させて、紹介される幹部達の顔と名前を精一杯頭に叩き込んだ。
「ねェちゃん、チウチウさせて!」
『いいよ』
「ダメだ」
「なんでいつもいつも邪魔するの!!邪魔です!!刺すよ外典くん!?」
「またこいつに噛みついてみろ、氷漬けにしてやる…!」
「あーいたいた!トガちゃん!ケーキあった?俺果物食べてぇんだよなー!酸っぱいの」
会場のどこかにいる、彼らの声を剛翼で拾いながら。
挨拶をし続けて、ようやく、目的地に辿り着いた。
トガと取っ組み合いになっている外典と、二倍になって二人の喧嘩を止めているトゥワイスの傍ら。
がジュースを片手に持っていた。
『ホークス』
「…やぁ。君が解放軍にいるなんて知らなかった。もっと早く教えてくれればよかったのに」
『…ホークスがいることも驚きだけど。どういう経緯で?』
「さっき聴いてた通りだよ。荼毘に紹介してもらった。君は?」
『あそこにいる外典に、声をかけられた。そのままここへ』
「…………それだけ?解放戦線の何に、惹かれたの」
愚直な質問に。
がジュースを口にしながら、ジッとホークスを見つめた。
「……まぁ、積もる話は別の機会にしようか!今日は超常解放戦線にとって、めでたい日だしね」
「そうだぜお二人さん。つれねェな、俺にも紹介してくれよ」
荼毘が手近な料理の皿を片手に取って、バク、とフォークで刺した何かの肉を一口で飲み込んだ。
「おまえら、どこでどうやって知り合った?」
「ーーー……家が近くてね」
「くだらねぇ嘘つくなよ」
『公安の任務で知り合った』
「へぇ?」
ドクン、と。
ホークスの心臓が跳ねた。
荼毘が食事の手を止めることなく、つけ合わせの野菜をフォークで刺して、の口元にぐいっと押し付けた。
『……食べなよ人参』
「いらねぇ。食えよ」
渋々があてがわれた野菜を口にして、ごくりとそれを飲み込んだ。
『事務所、立ち上げた頃にチームアップを依頼した。4年くらいの付き合いになるかな』
「…公安って?」
ホークスが鎌をかけた。
線引きを引き間違えれば、全てが水の泡になってしまうこの瞬間。
が事もなげに言った。