第4章 死ぬ気で鍛えろ
だからこそ、肌で感じなさい。
18禁ヒーローミッドナイトが、セクシーなポージングを決めながら、そう生徒達を焚きつけた。
「俺たちのひらめきを人為的に引き出すために、わざと飛来してくるコンクリを…!?さすが雄英!!みんな、ぺしゃんこにならないように、気をつけながら訓練をするんだ!!」
「待て待て、初日からハードすぎんだろ!!」
「早よ次のガレキ飛ばしてこいや!!」
「爆豪やめてー!!ちょっと落ち着かせて、心臓に悪いから!!!」
ぎゃあぎゃあと、それでもどこか楽しそうに訓練に戻っていく生徒たち。
それを眺めていたミッドナイト、エクトプラズム、セメントスが顔を見合わせ、コクリと無言で頷き合った。
カッカッカッ、とヒールを鳴らし、ミッドナイトが3人を代表して、元煙突ゾーンに足を踏み入れ、高々と積み上がったガレキのひと山の頂上に登り詰めた。
そして、クレーターのようになっている中心地で、と組み手を続けている相澤を発見し、叫んだ。
「イレイザー!!!危ないッでッしょーが!!!」
「すまん」
「何が「俺が見ておく」よ!!!こんな訓練やるなんて聞いてないわよ!!!私、か弱いんだからね!!けが人出たらどうすんのよ!!!」
けが人、というキーワードにがビクつき、遠方で、仁王立ちをしながら腕を組んでいるミッドナイトの姿に、一瞬気を取られた。
雄々しいミッドナイトの顔は、どこがか弱いのかわからないほど、般若のように豹変している。
『ーーーー。』
萎縮したように。
が身体に纏っていた炎が、かき消えた。
「力抜いてる場合じゃないよ」
一気に間合いを詰めてきていた相澤が、に向かって捕縛武器を投げつける。
は視界にそれを捉えたものの、苦悶の表情を浮かべ、強く、目を瞑ってしまった。
その反応を見て。
「一度、休憩しよう」
相澤が動きを止めた。
担任のまばたきの一瞬をついて、辺り一面を瓦礫と化してしまった少女を見下ろし、彼が深くため息をついた。
(…クソ、個性を消すのが間に合わなかった)
落胆したように聞こえる担任の深い吐息を聞き。
は俯き、肩身が狭そうに、呟いた。
『…申し訳、ありません…』