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イカロスの翼【ヒロアカ】

第34章 炎天




『………貴方が足りてないなんてことはないよ。絶対にそんなことはない』


は、珍しく。
鷹見の言葉に応えてくれた。


『私が足りてない。欠けてる。忘れてることがある』
「忘れればいい」


俺と出会う前の君のことなんて、と。
鷹見は声を荒げて、否定した。


「無くしたままでいい。今の君で十分だ。思い出せないことに執着しても仕方ない」
『…ホークス』
「啓悟」


今はそんな距離のある名前で呼ばんでよ、と。
ホークスが物悲しげに囁いた。


『……鷹見く「啓悟」………啓悟』
「なに?」
『……私…』
「……ゆっくり、考えて。俺のこと、会えなくても考えていてほしい」


焦凍くんのことばっかじゃなくて、と。
ホークスが不満げなしかめっ面をした。


『…うん』












考えるよ、と。
初めて彼女からそんな返答をもらった。
肯定的な返事がもらえたわけでもないのに。
俺は嬉しくなって、翼を一瞬ばたつかせた。










































潜入捜査が終わるまで。
君と会えないと思ってた。
当たり前に、そう思ってた。











「解放戦士諸君!!リ・デストロである!!!これより、異能解放軍は生まれ変わる!!」


「より深化した解放の道を辿るにあたり異能解放軍及び敵連合は!!!融合し新たな名を冠する!!」













壇上から掲げられる敵連合の新名称。
荼毘に招かれた敵組織のミーティングとやらに、俺は参列していた。
およそ数千人以上が集まるその地下会場。
設置されたステージの上には、見慣れた政界やトップ企業の取締役達が顔を並べ、その隣には平然と世間で取り沙汰されている敵連合の顔ぶれがあった。






「さァ!その名を、死柄木弔!」
「超常解放戦線……敵の名を排し、異能の枠組みを更に広く解釈できるものとした…又、壇上の9名を行動隊長に任命し、傾向別に部隊編成を行う」








「まァ…名前なんて飾りだ。好きにやろう」












数千人の大喝采。
俺は冷や汗をかきながら、取り繕って笑い、形だけ拍手をしてみせた。
新幹部たちの発表が終わり、解放軍の構成員が思い思いに過ごす中。
俺は挨拶をしてまわり、可能な限り構成員の把握に努めた。

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