第34章 炎天
11月も下旬。
今年下半期ヒーロービルボードチャートが発表された。
テレビ中継されるその表彰式を、1年A組の生徒達はリビングに集まって鑑賞していた。
「エッジショット何位かな」
「今年はどうなる?」
ざわつきながらテレビに注目していると、ついに、ランキングの発表が始まった。
〈No.10、前回9位からワンランクダウン!!ドラグーンヒーロー、リューキュウ!!No.9、こちらもダウン、しかし未だ衰え知らず!!具足ヒーローヨロイムシャ!!〉
テレビの前に正座している緑谷と。
ヒーローオタクの緑谷は想像がつく行動だが、に関しては予想外のため、クラスメイト達が彼女の挙動に注目していた。
「は誰推しなん?」
『ホークス』
上鳴の質問に、視線をテレビから離すことなく、が即座に答えた。
〈No.5、勝ち気なバニーはランクアップ!ラビットヒーローミルコ!!No.4、ミステリアスな忍は解決数も支持率もうなぎ上り!!忍者ヒーローエッジショット!!〉
No.3はファイバーヒーロー ベストジーニスト。
活動休止中の為、彼が欠席の旨が会場に告げられた。
そして。
〈No.2!!マイペースに!!しかし猛々しく!!破竹の勢いで今!!二番手へ!!ウイングヒーローホークス!!〉
『二番!!!』
がワッと叫んで地面に倒れ込み、ダンッと床を拳で叩いた。
「ガチ勢か…」
「一位お前の親友の親父だぞ」
『でも私はホークスが好き』
「珍しいな、そこまで感情現すの」
No.1、エンデヴァー。
その公表がテレビで放送されても、轟はピクリとも表情を動かさなかった。
一人一人、登壇したヒーローがコメントを述べていく。
エッジショットのコメントへ進んだところで。
ホークスが口火を切った。
〈それ聞いて誰が喜びます?〉
一瞬で、会場も、放送席も、その放送を眺めていた雄英生達の空間も凍りついた。
〈節目のこの日に俺より成果の出てない人たちがなァにを安パイ切ってンですか!もっとヒーローらしいこと言ってくださいよ〉
場を凍り付かせる若輩の彼の発言を聞き、上鳴がに問いかけた。
「ああいうところも好きなの?」
『それでも好きだ』
「ガチ恋やん」