第33章 ティータイムの後で
寝たくない、眠らない。
何度かそのやり取りを繰り返すうち、はうとうととし始め、次第に寝入ってしまった。
ゆらゆらと不安定に首を揺らして眠るから、轟がの頭にそっと触れて、自分の肩を貸した。
左肩に乗った彼女の頭の重みが。
轟の胸を軋ませた。
(…なんで泣いてたんだ)
聞けば答えてくれただろうか。
結局、今日一日中ずっと考えていたのに、聞く勇気が持てなかった。
(……文化祭、楽しかったか)
きっと、おそらく。
楽しんでいただろう。
その程度の推測しかできない。
実際には聞いていないから。
「……。」
寝息を立てて眠る彼女の、前髪をそっと撫でた。
泣いている子どもをあやすように。
とても慎重に。
とても繊細に。
眠りに落ちた彼女の体温を片腕に感じて。
轟は思うのだった。
あぁ、やっぱり俺は
おまえの笑った顔が好きだなぁ