第33章 ティータイムの後で
段々と、クラスメイト達のグループがばらけてきた。
クレープ屋の前で列に並ぶ壊理の傍らから、クラスの様子を眺めていた相澤が、ふと、轟達の方に視線をやって、何やら立て込んでいそうな雰囲気を感じとり、視線を逸らした。
「みんな一緒で構わない。…それでも嬉しい。けど、隣にいてほしいんだ」
『……え?』
轟が咄嗟に掴んだ彼女の手首を見つめ、ハッとして、手を離した。
「…悪ぃ、変なこと言って」
『………』
「……っ…」
彼女の顔が見れない。
恥ずかしい。
顔がどんどん熱を帯びていくのがわかる。
(なに、言ってんだ…!!)
子ども相手に、ヤキモチなんてありえない。
どれだけ余裕がないんだ。
「…何でもねぇ、忘れてくれ」
『ううん、ごめん。二人で回ろうって言ってたね』
気づかなくてごめんね、と。
は謝った。
『一緒にクレープ食べよう』
「……。」
違う違う、そうじゃ、そうじゃない。
遠くから見ていた常闇と障子が轟の背後からジェスチャーでに伝えようとするが、は顔をしかめるだけで、何も察してはくれなかった。
『行こう』
そう言って。
さっき轟が彼女にそうしたように、は轟の片手首を掴んだ。
轟はその手に視線を取られたまま引っ張られて、クレープ屋に並ぶことになった。
「さん、これ、美味しいよ」
『美味しいんだね。何が入ってるの?』
「りんご」
『いいね。私もお揃いにしようかな』
轟の手首から、彼女の手が離れた。
「はい、りんごホイップね!隣の彼は?」
「…じゃあ…あんまり甘くないのを」
彼女が好きな甘いものを、轟はよく一緒に食べている。
がいつも半分こして寄越してくるからだ。
食べられないわけではないが、甘すぎるものは少しだけ苦手だ。
クレープを食べるのは、何年振りか思い出せなかった。
『轟くんは何味?』
経営科の生徒からクレープを受け取って、一口食べた。
「……よくわからない。ほうじ茶アイスが入ってる」
『へぇ、美味しそう』
「食べてみるか?」
『うん』