第33章 ティータイムの後で
ライブが終わり、片付け中の舞台裏。
「最初は大きな音でこわくって、でもダンスでピョンピョンなってね、ピカって光って…」
通形と一緒に、興奮した様子でA組のもとを訪ねてきてくれた壊理の言葉を聞いて、緑谷が涙ぐみながらうん、うん、と頷く。
そんな微笑ましい一面を横目に見ながら、1年A組の生徒達は、体育館に散らばった氷や瀬呂テープを拾い集める。
「早く氷全部!!片付け!!済ませようや!!」
なぜかキレッキレの峰田に急かされながら、クラスメイト達が運んでくる氷の塊を、と轟はひとつひとつ焼却していく。
「さん、あのね、あのね」
『うん』
すっかり年相応に興奮冷めやらず、聞いて聞いてと壊理がに一生懸命話しかけてくるのを邪魔するわけにはいかず、峰田が轟を睨みつけ、「はよ燃やそうぜ!!」とせっついた。
轟はどこか気もそぞろで、壊理と目線を合わせて話すに釘付けになっている。
「ミスコン!!良い席とられるぞ!!」
峰田の怒声を聞き、轟がようやくハッと我に帰り、仕事を再開し始める。
結局、流れでクラスみんなと、壊理と、通形でミスコンを見に行くことになった。
舞台上で繰り広げられる女達の戦いを見学しながら、轟は深く思考していた。
(…これ、どこで二人になったらいいんだ)
あれよあれよという間に、クラスで学校祭を回る流れができている。
嫌ではない。
嫌ではないが。
ちょっと違う。
「さん、あのね、あのね」
『うん、うん』
にいたく懐いている幼子を見ていると、二人きりになりたいなんて醜悪な感情を外に出す気持ちになれない。
「壊理ちゃん、くれえぷあるよ!」
「お姉さんたちと一緒に食べましょ」
気を利かせてくれたらしい麗日と蛙水が、轟の方をちら、と見て陰ながら親指を立ててきた。
(麗日、蛙水…!すまねぇ)
「『あ、いいなクレープ』
轟は甘いものに釣られて行ってしまいそうなの片手を咄嗟に掴み、引き留めた。
は振り返って、真顔で轟の顔を見つめ、問いかけた。
『クレープ食べる?』
「食べない。、ちょっと」