第30章 ワクワクさん
あの子たちがサポート科って言ってね。
あっちはケイエイ科。
みんなヒーローにあこがれててね。
それでこの学校にいるんだよ。
(さんの説明、独特で聞いてて楽しいな)
緑谷はそんなことを考えながら、先を歩くと壊理の後ろを歩く。
主観を織り交ぜた学校の解説をするは、壊理と手をつなぎ、解説ポイントをもう片方の手で指さしながら案内をしている。
今日は土日にあたるが、全寮制ということもあり、多くのクラスが文化祭準備を進めている様子が多く見受けられた。
曲がり角を曲がろうとしたところで、急に4人の目の前にドラゴンの頭が飛び出してきた。
うわぁ!?と緑谷は大声を出して驚いてしまったが、と壊理は全く微動だにしなかった。
「すンません…ってA組の緑谷じゃねェか!」
「アレアレアレー!?こんなところで油売ってるなんて余裕ですかあァア!?」
ドラゴンの頭、の模型を掲げて運んでいたのは、ヒーロー科B組の何人かの生徒たちだった。
「おやァ!?これはこれは噂の転入生、君も呑気に散歩かな!?僕らB組は君の対抗馬として拳藤を選出したよ!!優勝確実とたかをくくっていたら痛い目をみるよ!?」
『……?』
なぜか、物間に指をさされ、個人的にからまれているは、何のことか話がつかめないらしく、一向に怪訝そうな表情を崩さない。
かといって質問をする気もないらしい彼女を見るに見かねて、緑谷が割って入った。
「いつにも増してめっちゃ言ってくる…!拳藤さんがさんの対抗馬ってどういうこと?」
「A組のミスコン出場者は君だろう!?B組はテレビのCM人気が追い風吹いてる拳藤さ!出し物はライヴ的なことをするんだってね!?いいのかなァ、今回ハッキリ言って君たちより僕らB組の方がすごいんだが!?準備しといた方がーーー」
キャンキャンと吠える小型犬の様に鳴きやまない物間から視線を外し、が緑谷に視線を向けた。
『何の話かさっぱりわからない』
「1年A組のミスコン出場者はさんなの?」
通形がと、緑谷を見下ろし、問いかけてきた。
と緑谷は顔を見合わせ、質問を返した。
『「ミスコン?」』