第27章 青き恋心
ホークスが、フェニックスごときに遅れをとる訳がない。
そんな公安の企てが、俺の知らないところで加速していた。
気づいた時には、もう何も覆らない最悪な状況になっていた。
彼女は公安に敵として認識され、「守るべき対象」からは除外された。
「彼女が何をしたって言うんです」
都合良く利用して。
都合良く捨てるというのか。
彼女はただのヒーロー候補生だ、トガヒミコが特定の人物に異常な関心を寄せることなんて、緑谷や麗日、他の学生たちでも立証されていることなのに。
そこまで思って、ハッとした。
たしか
荼毘も、彼女に異様な関心を向けていた。
初対面だ、と彼女は言っていたけれど。
荼毘はなぜ、「ソイツが気に入った」などと言っていたのか?
なぜ、眠らせてまで連れ出そうとしたのか?
が報告をあげた「かごめちゃん」とは誰のことなのか?
いくつもの疑念に対し、彼女が報告した見解は。
わからない
という曖昧な返答。
そこまで思い至ってしまったら。
もう、俺は抗議の声をあげることはできなくなっていた。