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イカロスの翼【ヒロアカ】

第26章 劣等生




(距離があるというか…距離しかないというか…)


何ともいえない轟親子の雰囲気に、一瞬だけ、は眠気を取り払われた。


「今日も懲りずに揃ったか。あの温い試験にすら振るい落とされた落伍者共め…!」


講習担当ヒーロー ギャングオルカが姿を現した。
一瞬で弛緩した雰囲気がぴりつき、生徒たちが閉口する。


「自覚しろ!貴様らはヒーローどころか底生物以下!!ダボハゼの糞だとな!」
「「「サーイエッサー!!」」」
(何これこっわ)


軍隊キャンプを彷彿とさせるギャングオルカの講習を見て、プレゼントマイクがドン引いた。
1階は1階で殺伐としているが、方や、プレゼントマイク、オールマイト、一つ飛ばしてエンデヴァーという座席位置を陣取ったプロヒーロー達三人の中にも、華やかな会話など生まれる気配はかけらもない。


「あっ☆俺コーヒー買ってこよーっと☆」


マイクはお二人さんいります!?なんか食べます!?と適当に二人の先輩方に声掛けだけして、すぐさまその微妙な空気間を醸し出している二人の傍から緊急避難した。














学級崩壊したクラスをまとめてみなさい。
そんなよくわからない課題を課された轟、爆豪、夜嵐、現見の4名。
指名され、特別課題を課されている4名と離れた場所で、は他の講習生たちと一緒に基礎トレーニングを続けている。
ぎゃあぎゃあと騒音が発生している小学生グループに小一時間手こずっている轟と爆豪をたまに横目で観察しながら。
ぼんやりと、何も考えずに講習時間を怠惰に過ごした。
講習の帰り際。
エンデヴァーが轟に話しかけてきた。


「久し振りだな焦凍、ずいぶん変わった」


そういって、エンデヴァーは轟の頭に手を置こうとして。
皆の前で、拒絶された。


「うるせェよ」
「焦凍。おまえは自慢の息子だ」


そんな反応など慣れっこなのか、エンデヴァーは気にせず、伝えたいことだけを口にする。


「ならば俺もおまえが胸を張れるようなヒーローになろう。父はNo.1ヒーロー。最も偉大な男であると」


そう聞いて。
轟は不愉快そうに視線をそらしたあと。
勝手にしろよ、と呟いた。












帰り道。
車に揺られる轟の横顔は、なぜか少しだけ。
からは、笑っているように見えた。



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