第25章 プロローグ
その日は。
学校に戻ってからも、色々と調査や手続きが立て続けで。
結局、緑谷たち1-A組のインターン生たちが寮へと帰ってこれたのは、夜の時間帯だった。
「帰ってきたァア!」
「大丈夫だったかよォ!?」
「まァとにかくガトーショコラ食えよ!」
「お騒がせさんたち☆」
駆け寄ってくる寮生たちに囲まれて、あれよあれよと質問攻めに遭うインターン組。
赤く、目を腫らした顔をしているの傍に一番に駆け寄ってきたのは、轟だった。
「、ケガ大丈夫か」
『轟くん、久しぶり。大丈夫』
お茶、飲むか。
具合、どうなんだ、と。
彼はに問いかけ続ける。
大丈夫、うん、大丈夫、と彼女が答える合間に、轟の携帯の着信音が鳴った。
「…ちょっと待っていてくれ」
『うん』
「皆、心配だったのはわかるが!!落ち着こう!!」
雪崩のように詰め寄せるクラスメイト達の前に、飯田がまるで緑谷たちを守るSPのように両腕を拡げて立ちはだかる。
騒がしい日常に帰ってきた安心感からか、無理やりにでも笑えるようになってきた緑谷達。
爆豪は、ソファから立ち上がり駆け寄ることはしないまでも、彼らを遠目で眺めていた。
(…目、ブサイクになってんな)
何割増しか、の目の周りが腫れてしまっている。
リカバリーガールの治癒は受けてきたはずの彼女が、目を腫らしている理由など、簡単に思い至った。
「…。」
無言でキッチンの方へと歩き出す爆豪を見て、尾白が「一言くらいかけたら?」と促した。
爆豪は「てめーらと違ってヒマじゃねンだ」と突っぱねた後。
「オイ三割増しブサイク」
に向かって、冷凍庫から取り出した保冷剤を一つ、投げてよこした。
「んな面で帰ってきてんじゃねェよ」
『…ごめん、外出てくる』
「爆豪てめいじめてんじゃねェぶっとばすぞ!!」
「あァ!?やってみろや上鳴!!」
轟がリビングへと戻ってくると。
なぜか爆豪と上鳴が大喧嘩をしていた。
大人数でその小競り合いに仲裁に入るクラスメート達の傍を通りすぎて、はまた玄関で靴を履きなおしている。
「、どこ行く」
『え?気を遣わせるから』
今日、これから雨降るだろ。
轟は彼女を引き留めるために、適当な嘘をついた。