第23章 かごの中の鳥
入中を捕縛したことにより、生き迷宮が停止した。
しかし、もはやあまりにも道が入り組みすぎてしまっている。
通路通り少しずつ進んでいては、タイムがかさんでしまうだけだ。
「トガとトゥワイス…敵連合がどこかに潜んでいるはず…!」
「他の連合メンバーはどこにいる」
「知るか!!必ず見つけだしてやる!連合の奴ら全員ドタマカチ割ってやる!」
獣のように吠え続ける入中のすぐ隣。
意識を取り戻したロックロックも交えて、プロヒーロー達が今後を思案していた。
「襲ってくる気配はないが、裏切ったからといって味方になったとも考えにくい…」
全国指名手配犯の敵連合。
警察としては、一介のヤクザ者よりも放置しがたい状況にある。
しかし、この作戦は。
敵連合にまで目的が及ぶ場合は、そこまで、と決めている。
その相澤との約束を思い出した緑谷は、ぐっと拳を握りしめて、声を発した。
「先せ…『敵連合は無視する』
そんな意を決した緑谷の言葉を遮ったのは、だった。
『私が追います。他のヒーローは深追いしないで良い。私と警察に任せてください。敵連合は、最優先事項じゃない』
「…さん」
思案をやめた彼女は、トゥワイスとの戦闘で切ってしまったらしい額の出血箇所を片手で抑えながら、提言した。
「いや、ダメだ」
君の個性が必要だ、と。
ナイトアイがその提言を却下した。
「パワー系の個性を持つヒーローが必要だ。フェニックス、君にも引き続き作戦に加わってもらう」
「ッ…ナイトアイ、それじゃ…!」
「ガタガタうるせえな!!わかったらとっとと足動かせ!!」
割って入ったのは、血色の悪い顔に脂汗をにじませているロックロックだ。
「リューキュウたち上にいる連中、地下で分断された警官たち、サンイーター、烈怒頼雄斗、ファットガム、ルミリオン…ここまで来たらあと一息だろう!!皆が稼いだ時間を無駄にするな!!」
その、激励を聞き終わる前に。
ヒーロー達は駆け出していた。
「必ず救け出します!」
走って、走って、走って、走って。
「ここだ、蹴破れ!」
辿り着いた、その先は。
敵も、ヒーローも、ぐちゃぐちゃで。
小さな女の子の叫び声が響いている。
そんな、最悪な戦場だった。