第24章 現代病
さあ、記録しよう。
幼い少女が虐待を受け、監禁されている。
その個性を利用され、身体を切り刻まれて、薬物の材料として生き、毎日心を、身体をすり減らして生きている。
決行日が決まる数日前。
はハイツアライアンス寮の自室で、作戦詳細の載った紙資料に目を通した。
片手には、たくさんの砂糖が入った甘いコーヒーを携えて。
(ーーー。)
博多へ公印を返しにいった際、ホークスからはこの作戦に参加してほしい、という公安の意向を聞いていた。
普段のように。
電子データで配付された作戦資料。
普段のように。
自室のプリンターで印刷をかけて、紙にまとめた。
一言一句読み飛ばすことなく、その記録紙に目を通し終わったのはほんの数分後。
は読み終わった作戦資料を片手に、自室のベランダへと出て。
『カルラ』
〈呼んだか、〉
その資料を持った方の手のひらに、カルラを呼び出した。
ボッと一瞬で資料に火が付き、燃え盛る。
口外禁止、情報漏洩など絶対に許されないその作戦資料は、の手から落とされ、ベランダのコンクリートの上をのたうち回り、塵になった。
全ての紙が灰になるのを見届けるまで、はその明かりを見つめて、一瞬たりとも目をそらすことをしなかった。
瞬き一瞬でさえ、することなく。
ただ、その炎を見つめていた。
『…カルラ』
〈呼んだか、〉
そして、オウムを象った鳥の姿ではないだろうに、オウム返しをしてくる手のひらサイズの火の鳥が面白くて。
笑いかけた。
『次は』
『ちゃんと、できるかなぁ』