第23章 かごの中の鳥
キェエエエエと。
動き回る生迷宮のどこかで、よくわからない鳥が鳴いている。
そんなことをが考えた、次の瞬間。
「「「『…ッ…!?』」」」
四方八方のコンクリートが動き出し。
ものすごい勢いで回転し始めた。
まるで。
「キャーーッ、仁くん、洗濯機みたーい!楽しー!」
「あわわわアブねーーー!!楽しくねぇよこんなん、縦型っつーか、ドラム式っつーか洗濯物扱いすんなよな!!」
「洗剤は?」
「あそこに見えるヒーロー達だよ」
「柔軟剤は?」
「飛び散ってるコンクリビーズが血の香りを24時間保ってくれるよ!」
回転する天地の渦中。
ふざけている敵連合の声が聞こえてきた方向を見ると。
まるでプロヒーロー達と変わらない、本当にぞんざいな扱いを受けているトガと、トゥワイスを見つけた。
協力体制を取っていたように見えた、敵連合と、八斎會。
ズタボロのぼろ雑巾のようにコンクリビーズで香り付けされているトゥワイスを見るに。
内部分裂でもしたようにしか見えない。
『カルラ』
〈呼んだか、〉
誰もが地に足をつけない現状。
の個性が有利に働く。
これだけ道も景色も変えられてしまっては、正しい道順など覚えていても、ルミリオンのもとへは辿り着くことができそうにない。
はカルラを呼び出し。
滑空して、敵連合の方へと飛びかかろうとした。
「あッかごめちゃん!!」
『…その、かごめって誰のことを言ってるの』
またよくわからないことを口にするトガに、蹴りを叩き込む。
しかし、さすがはドラム式洗濯機、的が外れて、はコンクリに蹴りをいなされた。
「ねえねえまた会えて嬉しいね!!チウチウさせて!!」
『っ…大人しく』
「逃げろトガちゃん!くそっこのヒーローめ、トガちゃんをやるなら俺を倒してからにしろ!!」
ぼろ切れの様にコンクリを転がりながら、トゥワイスが器用にへと飛びかかってきた。
男性一人分の重さを受けて、が浮遊バランスを崩し、濁流のように流れ続ける地面へと落ちてしまった。
敵と一塊になって転げ回されているその状況を見て、緑谷がさん、と叫ぶ。
ぼろぼろになりながら、取っ組み合っているトゥワイスとを見て。
トガが、口を開いた。