第23章 かごの中の鳥
刹那。
土流と化しているコンクリが、ヒーロー達を襲った。
頭上から降ってくるその凶器に、数名の警官が叫んだ。
「危ねぇ!」
「デク!」
一瞬だけ開けていた活路はまた固く閉ざされてしまい、一塊になっていたプロヒーロー達は、三方向に分断された。
一方にはナイトアイと、警官数名。
他方にはイレイザーヘッドと、デク。
そして。
中途半端な場所で、逃げ遅れて圧し潰されそうになっていた警官を、ナイトアイの方へ爆風で押し込んだは、眉間に深いしわを寄せたまま、ロックロックと同様の場所で足止めを食らっている。
「分断…!?今更…!」
「来るぞ!次の一手が!!」
それぞれ、ヒーローが散り散りになったこの場面。
油断など、誰もしていなかった。
『ロックロック、私は』
先へ、と声を発したは、彼の背後に忍び寄る影を見つめ、目を見開いた。
『後ろ!』
「ッ!?」
暗闇から這い出てきたのは、敵連合の一人。
渡我被身子。
トガはナイフを持ってロックロックへと飛びかかり、その顔面をナイフで切り裂こうと振りかぶる。
「施錠!」
「あら!?」
咄嗟に右の手のひらをナイフに突き刺してガードし、そのナイフが抜けないように個性を使用したロックロックだったが、頭上より本物のトガが襲い掛かってきた。
「敵連…!」
「違います」
が瞬時に飛び寄り、トガの脇腹を蹴りぬく直前。
ザグ、という鈍い音を立てて。
トガがロックロックの左脇腹をナイフで突き刺した。
「今は時代遅れの天然記念物。ゴクドー者のトガです。悪者なのです」
の足が触れる直前で、トガはロックロックを蹴り飛ばし、ごろごろと転がって、再度闇の中へと姿を消した。
『ロックロック!』
「ロック!!どうした!!」
緑谷と相澤が、壁を破壊して駆け寄ってきた。
はロックロックのコスチュームを引き裂き、刺傷を確認した後、『傷口を焼きます』と気を失った彼に確認をとった。
『敵連合がいる。現れたのは』
振り返ったの視線の先。
闇の中から緑谷の前に飛び出し、ナイフを振りかぶるトガの姿が。
『デク!』
「トガヒミコ!?」
「トガ!そうだよトガです!覚えててくれた!!わああまた会えるなんて嬉しい!嬉しいなァ!!」