第23章 かごの中の鳥
時は戻り現在。
ナイトアイ一行は、ファットガム、切島と離脱し、目的地へと急いでいた。
急いでいるのに、入中がコンクリを操作し、全員を圧殺しようと動くため、防衛のために立ち止まらざるをえない状況下だ。
追い込まれて、早数分。
明らかなタイムロスを自覚し、ヒーロー達は焦りを見せていた。
「迫って来る!圧殺されるぞ!」
「イレイザー!」
「わかってる!」
(入中本体を見れれば止められる…!)
しかし、本体が見つからない。
迫りくるのは壁、天井、棒状のコンクリ、と無機質なものばかり。
何度目かわからない、コンクリの破壊後。
今度は、一斉にコンクリが遠のき、急に道が開けた。
「開いた!?」
『イレイザーヘッド』
置いていきます、と。
が相澤を見つめて、宣言した。
膠着状態の最中、ナイトアイはに「正しいルート」を暗記するよう指示した。
わずか数十秒でルートを暗記してみせた彼女の戦闘力は、No.2ヒーロー ホークスのお墨付きで、なおかつ。
今現在、彼に釘をさされていたことが、現実になってしまっているからだ。
ーーー彼女は、単独行動の方が強いし、慣れてるんで、足引っ張んないでやってくださいねー。
これだけ周りに警察がいれば、彼女は爆風を起こすことができない。
これだけ狭い場所に人が密集していれば、彼女は炎を出すことができない。
正規ルートを口外せずにいたのは、情報漏洩を防ぐ目的と、もう一つ。
隠し部屋までのルート割り出し日から、作戦決行日が決まったこの数日の猶予期間ですべての道のりを凡人が覚えられるほど、並半端な情報量ではないとナイトアイが判断したからだ。
それだけの莫大な量の情報を、彼女は数十秒で『行けます』と結論づけた。
ルミリオンが治崎を追いかけて、だいぶ時間が経過してしまっている。
もう猶予がない。
候補生を一人、援護に送るようなふがいない作戦だとしても。
ナイトアイはルミリオンを失いたくなかった。
「ーーーフェニックス、ミリオを頼む」
ヒーロー名を呼ばれたはナイトアイを一瞥し、応えた。
『前へ出ます』