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イカロスの翼【ヒロアカ】

第22章 日常




「行くぞ!!」


彼女の言葉に呼応するかのように、ファットガムが大声を張り上げる。


「ファット!?」
「オイオイオイ待て待て!!」
「三人を見といた。効果がある間に動きを止めろ!」


天喰を置いて、走る。
ファットガムの判断に従い、プロヒーローたちが駆け出した。


「皆さん!ミリオを頼むよ。あいつは、絶対無理するから、助けてやってくれ」


3対1のこの状況で、天喰が案じるのは、一人の親友。
そして。


「さん」


彼女が通り過ぎるその瞬間。
天喰は言った。



















「本当は、傍にいて君を守りたかった。気をつけて」





































毎日。






朝、起きて。
彼女にメッセージを送る。


〈おはよう。昨日の夜、雷すごかったね。大丈夫だった?〉


歯を磨く。


「天喰おはよー」
「おはよう」


学校へ行く。
教室で育てている花に水をやって。
彼女のメッセージを読む。


〈おはようございます。今、インターンで博多に来ています。こっちもすごかったです〉
〈あ、インターンが始まるって言ってたね。今、水やりは誰がやってるの?〉
〈葉隠さんにお願いしてます。一週間、戻らないので〉


授業を受けて。
昼休み。


〈そうなんだ。インターン、頑張って。気を付けてね〉
〈はい、頑張ります。今日の夜ご飯は焼き鳥です〉


「おまたせ環!」
「ううん、大丈夫」


向かいの席に座ったミリオを見て。
昼食の前に、彼女にメッセージを返そうとして。


〈焼き鳥ーーー〉


その日、気づいた。


(…別に、メッセージしなくても良いのか)


花の水やりを忘れないために。
そんな名目で始まった、彼女とのやり取り。
彼女は今福岡にいる。
メッセージをする必要はない。
そもそも、こんな他愛ないやり取りを。
彼女は望んでいるのか?


(…あ、マズい)


望んでいるわけがない。
当たり前だ。
気づいてしまった。




















望んでいるのは






















俺の方

















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