第22章 日常
朝、起きて。
歯を磨く。
「天喰おはよー」
「…おはよう」
「お前いつも早起きだよな。弁当毎日作ってんの?」
「…う、うん」
「すげぇ」
「…意外と、慣れれば普通だよ」
クラスメートに挨拶をして。
お弁当を詰めて、ミリオと一緒に学校へ行く。
「環!今週の週刊ステップ見た!?ホークスのインタビュー載ってたよ!」
「…そうなんだ、まだ読んでない」
教室で育てている花に水をやって。
彼女にメッセージを送る。
〈おはようございます。天喰です。今日も水やり忘れずに〉
「一緒に昼休みに見ようよ!」
「うん」
授業を受けて。
昼休み。
食堂で、ミリオが料理をもってくる間、お弁当を拡げて待つ。
返ってきた彼女のメッセージを確認する。
〈こんにちは。です。今日は、水やり忘れずにできました。葉隠さんが私の鉢植えを彼女の鉢植えの隣に並べてくれました。彼女は、水やりが好きなようです。毎日かかさないと言っています〉
「おまたせ環!」
「ううん、大丈夫」
寮に帰る。
「ただいま」
「ただいまー!」
明るい玄関に向かって、はっきりと声を発して。
宿題に頭を悩ませる。
休憩中、なぜか、仕事のようにたくさんの報告をしてくれる彼女にメッセージを返した。
〈こんばんは。天喰です。水やり、できてよかった。葉隠さんはたぶん、水やりが好き、というよりは、花が好きなんじゃないのかな。また明日も連絡します。おやすみなさい〉
(…あ)
メッセージアプリの既読が付くと。
なんだか、少しだけの間、画面をじっと見つめてしまう。
〈こんばんは。です。確かに、そうかもしれません。明日聞いてみます。また明日もよろしくお願いします。おやすみなさい〉
(…あ。返ってきた、けど…)
おやすみなさい、という言葉を見て。
クラスメートと夜ご飯を食べる間。
メッセージを返すべきかどうか悩んだ。
食器を洗って、湯船に浸かって。
ひと段落した夜20時。
また宿題に手をつけて。
携帯のメッセージが気になって。
〈おやすみなさい〉
一言だけ、メッセージを返した。