第22章 日常
『必ず、天喰先輩なら完封できると思います』
は、そう言い切った。
雄英ビック3の一角を担うサンイーターと、ホークス事務所より派遣される形でこの場に立っているインターン生。
その二人にどんな接点があって、どんな関係性があるのかなど。
当の本人たちしか知る由もない。
ましてや、できる、と言い切った天喰でさえ、一番始めに背を押してくれる人間が彼女だとは、予想もしていなかったこの状況下。
自分の断言が、プロを目の前にしているこの場で、敵に囲まれている現状で、どれほどの意味を持つのか。
正直、無理だと止められるような気がしていた。
あきらめろと信じてもらえないような気がしていた。
それでも。
『できると言ったなら、やってくれる先輩だと思います』
彼女は。
「…提案が、あります」
挙手をして、発言を待つ。
一回目の水やりを終えた彼女は、教師のように俺を指さして『はい、天喰さん』と指名した。
「…毎日、が難しいなら。習慣づくまで俺が毎日メールするのはどうだろうか」
『…え?』
「メール、というか…メッセージアプリでも、いいけれど。もちろん、気持ち悪い提案をしているのは自覚があるから、俺とっていうのは、例え話として聞いてほしい。それこそ、さっきの…轟くんとかに、頼んでみるとか」
『毎日は、天喰先輩が大変なのでは』
「……嫌なら…別に…」
『いや、いやとかではなくて、迷惑でしょうから』
「…迷惑は…その、本当に断りたいわけじゃないなら、気にしないでほしい。断りたかったら、俺のことなど考えずこの場で断ってほしい」
どうする?と問いかけると。
困惑しているように見えた彼女は、しばし黙って、挙手をした。
「…はい、さん」
『そもそも、毎日メッセージをくれるって実現可能ですか?』
「それは、できる」
『毎日?』
「うん。できるよ」
君が嫌じゃないのなら。
そう、線引きをして、かえって迷惑にならないか、何度も何度も注意深く確認をして。
「…じゃあ…俺の連絡先」
彼女と、約束をした。