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イカロスの翼【ヒロアカ】

第22章 日常




「さん、美化委員に加わることになったから。天喰くん、委員会内容説明してあげて」
「えッ」


あまりにも突然のことだった。


「ミミミッドナイトなぜ俺が一年生の転入生の初対面の女子の美化委員会の業務の説明を…!?」


ミッドナイトに呼び出されて。
放課後、職員室へ行くと。
待ち構えていたらしいミッドナイトと、その席の近くには、彼女がいた。


「ののののうるさいわね。ヒーロー科三学年計6クラスをまとめる美化委員長でしょ?」
「…同じクラスの委員がいるはず…!」
「同じクラスの美化委員の葉隠さんは戦闘訓練で早退、もう一人美化委員の青山くんは個性の使い過ぎで腹痛早退」
「同じ学年の他クラスは…!」
「ほぼ接点ない同学年別クラスの子と、君は打ち解けられるっていうの?」
「できません!けけけ…けれど、た、他学年の方がハードルが高い…!」
「じゃあ高いハードルを先輩が下げてあげなさいよ。初対面でもないでしょ?」


彼女のことは覚えていた。
ミリオの個性の弱点に気づき、誰よりも執拗に彼の顔面を狙い続けて連撃を繰り出してきていた、さん。


「彼女編入してきたのよ」
「…ぁ…」


緊張しすぎで、彼女の目の前で、まるで鬱陶しがっているような言い方をしてしまった。


(言わないと…!嫌なわけじゃない、ただ急なことで俺にそんな大役任されてもしっかりできるかどうか…!!)


美化委員会の仕事を教えること。
委員会行事の際に使う、掃除用具備品の場所を案内すること。
俺に課せられた課題はこの二つのみ。
たかが二つ。
されど二つだ。


「っっ…が…」
『…?』


がんばります、の言葉が緊張して言えない。
ああ、すっごい見てくる、怖い帰りたい。


「っっじゃ…」
『…じゃ?』


じゃあ行こう、の言葉が言えない。
ああ、そんな目で見つめないで、恥ずかしい帰り
たい。


『…天喰先輩』


そんな俺を見るに見かねたのか。
彼女は微笑んで、話しかけてくれた。


『こんにちは』
「…え」


もう一度、彼女は言った。


『こんにちは』
「…こ……こん…にちは…」
『です』
「………あ…」


天喰、環です、と。
何とか声を振り絞った。
すると、彼女は。
向日葵がそこに咲いたかのように、ふんわりと笑った。

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