第21章 足枷
のヒーロー科1-A編入が決まった。
「これは、ヒーロー公安委員会と雄英が認めた特別措置なのさ。開示できる情報が足りず申し訳ない。そして、事件からまだ数日、さざ波だっているクラスの中にまた一石を投げ入れてしまうことになる。けれど、彼女を受け入れてほしい」
根津はそう伝えると、相澤にいくつかの約束事を提示した。
「いや、待ってください…!」
「彼女と接するにあたって、いくつか目をつぶってほしいことがあるんだ。一つ、必要以上に彼女の経歴について詮索をしないこと。一つ、除籍と復籍の権限は、彼女には適応できないこと。一つ、彼女が誰かと戦闘になったときには、相手が誰であれ彼女の援助をすること。これは生徒同士でも例外はないよ」
「公安?戦闘?あまりにも…」
「一つ、彼女の「任務」の障害となる行為は避けること」
根津は、相澤から差し出されたお茶を受け取って、ゆっくりとのどを潤した後、ほっと溜息をついた。
そして。
「最後に一つ。彼女がーーーー。」
湯呑の中で揺れている茶柱を見つめながら、根津校長の言葉を聞いた。
校長室の窓の外。
強風にあおられた木の葉が数枚、視界の端で舞っていた。
言葉が見つからず、口を開けたまま。
校長の顔を見つめて、黙り込む俺を見て。
「…相澤くん」
命を賭して。
生徒を守ってくれてありがとう、とは、保護者の誰も言ってくれなかったかい、と。
彼がそんな耳障りの良い言葉を口にした。
『先生?』
「…」
抵抗の素振りが八斎會に見えなければ、武力行使はしない。
しかし相手は仮にも今日まで生き延びてきた極道者。
そうスムーズに、ガサ入れに応じるわけがない。
(…武力、行使か)
「ヒーロー!多少手荒になっても仕方ない」
そんな警察官の声が聞こえてくる。
相澤と、。
限られている日々の時間の中で、まだ信頼関係の構築にまで至っていない二人は、言葉を交わした。
「…、俺から離れるな」
『え?』
そう言われたは、自分の付近にいる警察官、ヒーロー、顔ぶれを確認する。
「公安から任されている。そういう指示だ」