第17章 同族嫌悪
「不合格っていうのは嘘です。皆さん必死でしたねー、さぞ良いデータが取れたことでしょう。さぁ午後から講習続けますが、今日は座学から入ります。コスチュームを着替えた後、お昼は会議室でどうぞ、ちなみにこの施設の隣にコンビニがありましてーーー」
あまりにも、あっけないネタばらし。
何人かの受講者達が顔を見合わせる。
その顔に怒りを滲ませている者や、安堵している者、反応はそれぞれ様々だ。
『……勝手に早とちりしていた自分が恥ずかしい』
「そうなのか。むしろ、一番合格者に近い位置にいるんだから、安心できただろ」
『試験後に個性暴発させたから』
「あぁ…そこを気にすんなら、俺と夜嵐は、自分の意志で個性の使い方を間違った。が不合格になるのなら、俺もとっくに不合格になってる」
一通り目良の説明が終わり昼休憩へと入ったところで、轟がの方へ向き直った。
そして彼は彼女の前髪に触れ、ジッと瞳を覗き込んできた。
「…目の上を怪我したんだな。大丈夫か?」
『あ、大丈夫。昼休憩中にお医者さんが会議室へ来てくれるみたいだし』
「傷、残んなきゃいいが…」
『きっと大丈夫。なんだかすごくお腹が空いたよ』
「…昼、食いに行こう。…なぁ。遠くからお前が戦う姿を見てた。なんでだろうな、何だかすごく…」
『……すごく?』
すごく、不安になったんだ。
轟はそう小さく呟いて、一瞬だけ視線を足下に落とした。
そしてまたジッと、の瞳の奥を見つめ続ける。
「…もうあんま無茶すんなよ」
表情を曇らせたまま、轟がくるりとに背を向けて歩き出した。
は少しの間だけ、遠ざかっていく彼の背を見つめて、駆け寄った。
『うん、心配してくれてありがとう』
「…うん。コンビニ行くか?」
『行く。爆豪くんコンビニ行こう!』
「あァ!?勝手にパーティに加えてんじゃねぇよ殺すぞ!!」
『お昼持ってきたの?』
「ねぇわ!」
『じゃあコンビニルートだよね。行こうよ』
「声をかけんな、仲良しか!!」
『えっ?』
はショックを受けたような顔をして。
至極真面目に答えた。
『仲良しではないよね?』
「、爆豪と仲良くしてぇのかしたくねぇのかどっちだ」
「早よ失せろやバァァカ!!」