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イカロスの翼【ヒロアカ】

第16章 なりたかったもの




彼女はノーモーションで、爆豪の最大火力よりも、遙かに高威力の爆発を生み出し続ける。
使いこなせていない割に、常時高威力だなんて腹が立つ。
優勢から、劣勢へと、戦況が徐々に変化していくのが目に見えて分かって、イラついた。
けれど。


(……なんだ…?さっきから威力が増してやがる)


通常の戦闘訓練よりも、自分のギアが上がっていく速度が速い気がする。
高火力で爆破をしても、腕の痛みを感じない。
爆豪が一瞬自分の掌を見やり、ハッとした。
が個性を使うたび。
雄英での訓練中に感じたような熱気が、二人の間に立ち込める。
瞬間的に気温が上がり、その中で衝突をし続けている二人の身体からは、普段の運動時とは非にならないほどの汗が流れ出している。


『爆豪くん、まだいける?』
「誰に口きいとんだ、いけるわ!!!」
『そう、じゃあもっといこう』


さらに、向こうへ。
熱気で視界が揺れ、歪んで見える彼女の口がそう言った気がした。


(…………コイツ)


彼女は、おそらく。
爆豪が倒れるまで、個性での攻撃を止めるつもりはないのだろう。
の眼は、それほど勝利に飢えている。
この場がどれほどの灼熱に包まれようと。
彼女はお構いなしに個性を使い続ける。
自分の身体が脱水症状で悲鳴をあげようが、それすらどうでもいいというように。


「…おいテメ『まだいける』


彼女の体調不良を悟った爆豪が、戦闘を中断する姿勢を見せても。
彼女は個性を使い続ける。
彼女は戦い続ける。


『まだやれる』


はっきりとした彼女の宣言が乾き切った喉から発せられて、すぐさま爆発音でかき消えた。
爆豪は、彼女の繰り出してくる攻撃を退け、弾き、躱しつつ。
食らいついてくる彼女の形相を見て、ふと、考えた。










『私が勝つ』







『私の方が強い…!』








『私が、ただの高校生なんかに…!!』













敗けるか、と。











綺麗な顔を歪ませて











彼女が叫んだ。













(………やっぱり、コイツ)



















どこまでも











俺に











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